春土用と干支



実は昨日の4月17は旧暦3月17日、満月(望月)であり春土用の入りです。本来は昨日書くべき内容ですが、今日も土用の期間中なのでご了承ください。土用というと夏の土用の丑の日に鰻を食べることしか知らない人が増えましたが、土用は春夏秋冬の年四回あります。土用とは土旺用事(どおうようじ)が縮められた表現です。土用は陰陽道によるもので立春・立夏・立秋・立冬の前の18日間です。従ってそれぞれの日の前日が節分であり、節分も立春前の豆まきの日以外に三回あるのです。
土用の期間は土いじりをしてはいけないという言い伝えがあります。それは陰陽道の神様で土公神(どくしん)という方がいて土を司る神様であり、土用の期間は土を支配するので、土公神が土を支配している期間は土いじりをしてはいけないのです。現在でも建築関係では土用の期間は土を掘り起こすことを避ける場合があるようです。実際にはそんなことをしていては年に何度も休みになってしまうので、土用に入る前に着工して既に土をいじっている場合は土いじりを継続しても良いと解釈されているようです。工事関係の人は事故を恐れ神事には敏感です。今でも家を建てる時には日を選び、地鎮祭をしたり、建前のお祝いをしたりする場合が多いです。最近は建売がほとんどなので拘る人も少なくなりました。
季節の変わり目でもある土用の期間は、体調を崩しやすかったり、精神的に不安定になったりするので、昔の人々の言い伝えを信じ、静かにゆっくり過ごすのが良いとされています。土旺用事には土の作用が強くなり土は植物を育成し保護してくれるので古来大切にされてきたのです。性質があります。
春土用は戌(いぬ)の日、夏土用は丑(うし)の日秋土用は辰(たつ)の日、冬土用は未(ひつじ)の日に、それぞれの日の頭文字のつく食材を食べると良いとされていて、それは五行説に由来しています。五行説で春は青、夏は赤、秋は白、冬は黒と季節の色も決められており、季節の色と反対(相克)の色の食べ物を食べるのが良いとされています。春は秋の色である白い食べ物、反対に秋は春の色の青い食べ物を食べると良いということになります。従って、夏の土用には冬の色である黒い食べ物で、丑の日なので「う」のつく食べ物なので、かの平賀源内は夏にはあまり売れなかった鰻に着目して大宣伝をした結果が今日に至っています。鰻は夏になると痩せて油が減り、冬に油が増えるので本当は秋から冬にかけての鰻の方がおいしいことを鰻通は知っています。夏の土用は鰻に限らず黒いうのつく食べ物ならなんでもよいのですから鰻が高くなった今日では、うがつくものとして梅干し、うどん、馬肉、瓜など、黒いものなら黒ゴマ、黒砂糖、クロダイなどがあります。これらの組み合わせでよいのですから、焼酎の雲海と黒霧島でもいいわけです。羊羹とういろうでもいいのです。羊羹の薄切りはどうでしょうね。いずれにせよ平賀源内の呪縛からそろそろ逃れてもいいのではないかと思います。
春土用の食べ物は戌(いぬ)の日に秋色の白い食べ物ということになります。今年の土用の戌の日は新暦4月27日ですからお忘れなく。昔はいのつく白いものでイカがよく食べられたとか。他にもインゲンマメ、イモ、いなり寿司、白いものは大根、しらす、豆腐、うどん、ご飯、餅などがあります。組み合わせを工夫してみてください。
土用は季節の変わり目で体調にも変化が起こりやすい時期であることを想起する知恵でもありました。干支は迷信として馬鹿にせず古来の知恵は残しておきたいものです。

春土用

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