成人式と元服と左義長



2023年の成人式は1日9日です。現在、成人式は特定の日ではなく、1月の第2月曜日となっていますから、毎年日が変わります。2000年から導入されたハッピーマンデーのせいです。「公務員や中規模以上の企業を中心に週休2日制が浸透したため、月曜日を国民の祝日とする事によって土曜日・日曜日と合わせた3連休とし、余暇を過ごしてもらおうという趣旨」ということだそうですが、要するに景気対策の一環で、連休を増やすことで観光産業振興が目的としか考えられません。その観光産業は、連休は休めない、という皮肉な結果になっています。そして困るのが学校です。月曜日の授業だけ遅れてしまうわけです。どうしてこんな不合理な制度がいつまでも続くのか不思議でなりません。もっと休めというなら、週休3日制を推進すべきでしょうが、それで経済がうまく行くとは思えません。そもそも週休2日制が浸透した、という認識が間違いです。多くの学校は土日休みですが、だからといって、生徒も先生も休んでなんかいません。部活や塾があり、一方で文科省は授業内容を詰め込んでいますから、5日間の授業がすし詰め、超高速授業になって落ちこぼれを作っているだけです。大学は半期15回を守るため、ハッピーマンデー無視か、学期末に補講満載といういびつな詰め込みをせざるを得ない状態です。現場を知らない役人と政治家の机上論でできた制度なので、早くなくすべきでしょう。実際、成人の日をこの日に実施している自治体は多くないです。地域によっては夏休みの間に行うところも増えています。

成人の年齢も選挙の都合で変えられてしまいました。そのため少年法だけでなく、実生活上でも、飲酒、喫煙、契約などいろいろな問題が起きています。そもそも成人という概念は何なのか、法律的な面だけでなく現実を含めた再考すべき時だと思います。

古来、元服という制度がありました。これも時代により様式は違いますが、いわゆる通過儀礼で、本人の自覚だけでなく周囲にも認知を促す意味がありました。そして男子の場合、烏帽子親と呼ばれる社会的後見人が面倒を見ることを約束する制度によって、支援と助言をする人を決めるわけです。女子は裳着(もぎ)という儀式を行っていました。大人になることを服装や髪型が替わることで示していたわけです。現在の成人式にはそれがないため、本人の自覚も薄く、着飾って同窓会のパーティをするだけになってしまいました。式は票目当ての政治家の自己宣伝の場になっていますが、参加者はほぼ聞いていません。むしろ荒れる成人式のニュースを見ると、子供のまま、という現実を社会が思い知らされるだけです。成人式の服装はとくに女子は晴れ着として今でも派手な和装が流行りのようですが、ジェンダーフリーを主張する人たちはどう思っているのでしょうか。伝統的な意味としては、未婚女性が着る振袖には厄を払うという意味があったそうです。女性の19歳は最初の厄年です。振袖で厄を払い、病気や災いのない一生を送ってほしい、という親の願いが込められています。振袖は女性の正装とされていますが、皇族は別です。男性の羽織袴も同様です。従って皇居に参内する人は一般人なので羽織袴でいいわけですが、皇族の方々が振袖や羽織袴を召されるのは異例といえます。

ハッピーマンデー以前は1月15日に固定されていました。それは小正月の日に左義長と呼ばれる儀式のある地域があったせいだと考えられます。左義長はもう一部地域にしか残っていませんが、小正月の火祭りの行事です。成人した男子は初めて火を扱うことを許されます。

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