SDGsを分析する



SDGsはなんとなく環境について考えること、という理解が広まってきました。しかしなんとなくモヤモヤした感じがしませんか。SDGsについての詳しい説明は政府、マスコミを始めあちこちで広報されていますから、ここでは別の視点から考えてみます。
まずこのキャッチフレーズを最初見た時に違和感がありませんでしたか?最後の小さなsは何なの?ということです。複数形のsを小さく書くという習慣は日本英語にはないのですが、とくにアメリカ英語にはよく出てきます。1980sは1980年代のことできちんとかけばnineteen eighties略してeightiesなのですが長いのと面倒なので米語では80sと書きます。少し前まではこういう書き方はなく、たとえば13歳から19歳までをteensといいますが、TEENsという書き方はしません。日本語では10代といえば10歳から19歳までを含み、〇代というのは十進法の桁のままですが、英語ではteenがつくのが13からなのでteensという表現があるわけです。日本語ではほぼティーンといういいますが、英語からの借用ならティーンズというのが正しいのです。小文字のsは複数形の語尾、言語学でいう拘束形態素で語ではないので語の末尾につけねばなりません。日本語の助詞つまりテニヲハは語なので「私は」のように語尾についても独立した語です。しかし省略しても意味が通じます。一方で〇代の代は助詞ではなく拘束形態素で独立した語ではないのですが、省略できません。日本語には代だけでなく、枚とか匹などのように数詞の語尾について意味を表すものがたくさんあり、それが日本語の特徴の1つにもなっています。一方で日本語には複数語尾というものはほぼ無いに等しいので、英語学習の時に非常に悩むことになります。日本語ではそもそも単数と複数をほぼ区別しません。一人でも三人でも人の方が重要で、一人だと単数、三人だと複数という概念が浮かびません。「ほら、馬がいる」では馬の数はわかりません。そういう言語は他にもあります。そこでSDGsでは小さいsをつけることで複数であることを最初から示しています。もしSDGとしたら単数ないし概念だと思われてしまいます。実際日本語訳語の「持続可能な開発目標」は抽象的です。たぶん外務省の誰かが訳したのでしょうが失敗でした。目標群とすべきところでした。
外務省の公式ページのJapan SDGs Action Platformには「17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。」と説明されています。カッコの中の英語はそのままなので訳せなかったということなのでしょう。
Sustainableは最近、サステイナビリティとか言われるようになりましたが、ピンと来ない人が多いと思います。維持という意味なら日本英語だとkeepで「キープする」は定着しています。英和辞書を見るとsustainは「維持する、持続する」の他に「養う、扶養する」という意味もあり、さらには「支える、耐える、被る」などの意味もあってかなり意義が広い単語です。受験英語からすると扱いにくい「高度な単語」ということになります。「家計を支える」はsustain a familyですし、「敗北する」はsustain a defeatですから、日本語からは想像しにくい概念といえます。ではなぜ国連はこの単語を使ったのでしょうか。それは「誰が発音しても誤解が少ない」ということなのです。Sustainable Development Goalsは日本人がカタカナでサステイナブル・デベロップメント・ゴールズと発音すれば聞き間違えられる可能性はほぼないです。エスディーディーズの方がかえって誤認される可能性があります。日本人の有声子音は弱く発音されがちなので、STTと取られて聞き直されるかもしれません。文脈から理解される可能性はもちろんあります。英語は今では国際語になっており、それぞれの母語の人が発音するので微妙な発音の違いがあっても理解できるような単語を選んでいます。それが国際英語です。日本人にとって若干問題なのはテイとティが混じりやすいことで、よくテレビでサスティナブルといっているのを見かけます。

SDGs

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