精霊(しょうりょう)の日
3月17日は精霊の日だそうです。ご先祖様が帰ってくるのはお盆ですが、それとは別にこの記念日の由来は小野小町(おののこまち)、和泉式部(いずみしきぶ)、柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)という超有名歌人の命日と伝えられていることが発端だそうです。もしそうであるなら旧暦でやるべきでしょう。
そもそもこの三人の命日かどうかもはっきりしていません。誰が始めたのかも不明のようです。もうじきやってくる21日の春彼岸の頃に、死者の魂を慰霊する習慣があったのではないか、とい説もあるようですが、それならなぜこの有名歌人なのか説明がつきません。
精霊はセイレイとも読み、西洋のものはセイレイと読みます。超自然的なものの総称で、英語ではghost, spirit, soulなどいろいろな呼び名があります。それらに対する日本語の訳語もさまざまです。幽霊、魂などが多く、定義も曖昧です。ただショウレイと読む場合は宗教的な意味合いが強くなります。精霊流しのようにショウロウと読むこともあります。英語では大文字にしてSpiritというと、キリスト教でいう御霊(みたま)であり、父と御子(イエス)と御霊が三位一体Trinityであり、キリスト教信仰の根本になっています。
神道では荒魂(あらたま)、和魂(にぎたま)といい、神霊は異なった霊能をもつ別個の霊魂から複合的に構成されていると考え二分類しています。荒魂は外面に表れた荒々しくたけだけしい面の作用をいい、和魂は柔和、仁慈の徳を備えている面をいいます。普段は一つの神格のなかで統合されているが、ときには両者が分離し、単独に一神格として行動することもあり、たとえば神功(じんぐう)皇后の三韓の役では、住吉三神の荒魂は日本軍の先鋒となって先行し、和魂は皇后に従って軍船を守護したと伝えられています。そのため山口県下関市の住吉神社は荒魂を、大阪市の住吉神社は和魂をそれぞれ祀っています。
西洋では死んだ人が神や精霊になることはなく、聖人という人のままですが、日本では人が神になることもあります。軍人ばかりが強調されて嫌われることもありますが、徳川家康も大権現という神になっています。権現は日本の神号の一つで、日本の神々が仏教の仏や菩薩が仮の姿で現れたものとする本地垂迹思想による神号であるとされています。権は「臨時の」「仮の」という意味で、仏が「仮に」神の形を取って「現れた」ことを示しています。
宗教の世界は現代人とくに凡人には理解しがたいことが多いのですが、単純に習俗として行事を楽しむのもよいのではないでしょうか。
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