社長の日
4月10日は「社長の日」という提案もあるそうです。どういう語呂合わせかと思ったらCEO(しーいーおー)の語呂合わせだそうで、そうきたか、という感じです。社長といえば会社で一番偉い人、というイメージですが、社長にも大別して2タイプがあり、会社の大株主であるオーナー社長と、株主総会で指名される、いわゆる「雇われ社長」があります。日本の大手企業は後者がほとんどなので、実権は株主総会にあります。オーナー社長の会社は中小が多いのが日本社会の特徴です。しかし欧米では逆で大手の多くはオーナー社長で、有名な社長がたくさんいます。この差は起業の制度によるものです。GAFAもこのタイプです。
日本の社長で大資産家という人は稀有です。昔は多かったのですが、財閥解体によって大資産家がほぼなくなりました。日本の企業は創立が古いものも多いのですが、つまりは代々受け継いできた企業が多いということになります。欧米はそういう老舗は少なく、新興企業が多く、その勢いが強いのも特徴です。単純化すれば欧米の経済の方が勢いがあり、日本の企業が消極的で勢いが低いということになります。
アメリカの学生は卒業したら起業しようとする学生が多く、そのための投資家を探すのが普通です。日本の大学でいう学生課や就職課にあたる施設には銀行や投資家がいます。学生は自分の企画書を持ってそこを訪れるのです。日本は大企業への就職が大前提となっている点がまったく違います。優秀な学生は在学時代から小さな企業を興し、儲かるようになったら、その会社を売り資金を得ます。そうして資金が溜まってきたら、将来有望な会社を買って大きくすることを夢見るのです。それが売れればおお金持ちになれます。しかし自己資金には限界がありますから、外部からの投資家の資金を得るような努力をするわけです。無論いつも成功するとはかぎりません。自己資金がなくなったら、会社に就職して技術を高め、次の機会をうかがいます。会社でも同じポストにいるのは能力がないとみなされるので、次々に会社を変わります。これは教員も同じで学校を移るのが普通です。役人も頻繁に入れ替わります。民間から役人になることも普通にあります。反対に役人から民間に移るのも当たり前のようにあります。当然、住所も変えていきます。これがモビリティ社会であり、この人的移動が止まると欧米の経済が停滞します。「転石苔むさず」(A rolling stone gathers no moss.)は日本では「じっくり構えよ」という意味ですが、欧米では「動かないとさび付いてしまう」という逆の意味です。ロックバンドのローリング・ストーンズは「常に先を行く」という意味です。欧米において社長は社員のゴールではなく、最初からなるものです。木でいえば芽です。「よらば大樹」という日本とは違います。
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