主権 sovereignty


主権

Sovereigntyという英語はなじみがないと思います。カタカナで書くとソブレインティと読むことが多いですが、英語に近い発音としてはソウブレンティの方が近いので、とくに政治経済で変なカタカナ語は氾濫している現在、実用的な意味でこちらを覚えていただくのがよいと思います。

英語もそうですが、主権という政治用語はニュースなどでもよくでてきますが、一般にはわかりにくい内容です。「中国は台湾の主権を認めていない」「北方領土には日本の主権が及ばない」など領土問題は主権の問題ともいえます。また首相の靖国神社参拝など中国や韓国が文句を言うのは日本の主権侵害ということも言われます。このように主権というのは国家ということと密接に関係しています。

4月28日は「主権回復の日」というのは案外知られていません。1952年(昭和27年)前年9月8日に調印された(サンフランシスコ平和条約が発効し、日本の主権が回復したことを記念する日です。外国の独立記念日と同じなので、盛大に祝うのが普通の国ですが、日本では沖縄がこの日を日本から切り離された「屈辱の日」としていて、沖縄の反発を受けて式典は一切の祝う要素をなくしています。小笠原1972年、沖縄返還が1972年で、それぞれ返還記念日はありますが、小笠原には屈辱の日はなく、沖縄と同様に戦場にもなって悲惨な歴史もあるのですが、政治的状況は異なります。日本の立場に立てば、北方領土や竹島など完全に主権が回復したという状況にはないといえるのですが、だから主権の日を祝わないという理屈にはなっていません。なんとなく8月15日を終戦記念日と考えている人が多く、主権という意識があまり強くないのが日本の文化かもしれません。

そもそも主権とはヨーロッパの政治における「至高性」を意味する表現でフランス国王の権力が、ローマ皇帝や教皇に対して、そして地方の封建領主に対して、独立的で最高の存在であることを示すための用語でした。フランス語のsouverainetéの翻訳をする段階で主権という一種の権利であるかのようなしたことが混乱の原因で、「主権在民」のような用語を学校で習うので、国民の権利のような曖昧な理解が広がってしまいました。主権の基本的意義は1.国家の統治権(国民および領土を統治する国家の権力、2,他国の支配に服さない最高独立性、対外主権(たいがいしゅけん)3.国家の政治のあり方を最終的に決める権利、とされています。また国際法では国家間の「主権平等の原則」が認められており、国家は主権的地位において平等であるとされ国連では一国一票制をとっています。しかし安全保障理事会では拒否権のある国があったりと完全平等になっていないという問題も残っています。

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