May Dayと救難信号


SOS

5月1日はメーデーという労働者の祭典、ということなのですが、日本では労働運動がだんだん下火になってきて、今ではGWの真ん中で休暇をとって休む人も多くなりました。英語の中で月名が特定の日を表す例は他にありません。May Dayは元々ヨーロッパの五月祭で、夏の始まりということで、いろいろな行事があります。冬が長いヨーロッパ諸国では夏の到来が楽しいのです。

「メーデー」は遭難信号としても使われています。映画などで飛行機のトラブルに巻き込まれたて「メーデー、メーデー、メーデー」と無線で呼びかけるシーンを見たことがあると思います。メーデーは緊急事態を知らせる世界共通の符号語ですが、遭難信号メーデーの語源は、フランス語で「助けに来て」という意味の「venez m’aider(ヴネ・メデ)」です。フランス語が苦手な英語圏の人でも使いやすいようにMay Dayに似せたMaydayと発音するようになりました。

遭難信号でもう一つSOSというのが有名ですが、これはモールス信号Morse codeから来ています。モールス信号というのは初期の無線でトン・ツーという単音と長音の二種類の信号しか通信できなかった頃に発明された符号です。最初はアルファベットだけに対応していて、Aがトン・ツー、Bがツー・トン・トン・トンとなっていて、全部覚える必要があります。そしてSがトントントン、Oがツーツーツーでこの組み合わせが識別しやすいため、SOSを救難信号としたわけです。使用頻度の高いEはトンのみ、Tはツーの1音だけです。数字や記号も。送信開始(BT)、送信終了(AR)やなどの略語もあります。昔、FAXが普及する以前の聾者との通信ではTTYというタイプライタと文字盤がセットになった通信機器があり、モールス符号を電話で送受信することで文字通信ができる装置がありました。その時も同じ略語が使われていました。モールス信号は電気的な通信だけでなく、沈没した船の船底を叩くとか、何かをノックする音でも可能です。

和文ではイがトン・ツー、ロがトン・ツー・トン・ツーのように工夫した例があります。濁点や半濁点はありますが、拗音や促音などはないため、全部大文字になります。その名残が今でも一部のカタカナ表記に残っていて、濁点や半濁点が1文字分であったり小文字がなかったりします。

MaydayやSOSのモールス信号は覚えておいて損はないですし、簡単です。SOSの方は1つの単語として普及しています。ただ発音には長いので、声で発する場合はHelpが有効です。ただしヘルプではプが余計なので、ヘルだけでOKです。英語の最後の子音pは唇を閉じる動作があるだけで音はありません。

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