月替わり


月

今日から6月に入ります。しかし旧暦だと卯月十三日で1か月半のズレがあります。今年は閏月で卯月が二度あるため、そのズレは余計、大きくなっています。旧暦だと1ヵ月は30日で、1年は360日ですから、新暦より5日早いはずです。そのズレを調整するために閏(うるう)というシステムを導入して調整しているのですが、その調整が過剰になって、かえって大幅に遅れるという現象になっているわけです。旧暦は太陽太陰暦ですから、太陽の運行と太陰つまり月の運行で暦を作っていきます。本コラムでも度々ご紹介する二十四節気や七十二侯は太陽の運行から計算するので、季節感とはほぼ一致します。暦の方は月の運行なので、潮の満ち引きなど漁業や自然界の流れと一致し、また干支と結びつけることで、記録上の年月の経過を示します。ざっくりいうと旧暦では一日と一年が太陽の運行、暦が月の運行で決められ、農業や漁業にはその方が都合がよかったわけです。そして一月を三分割して初旬、中旬、下旬と10日ずつに分類していました。現在でもこの表現は残っており、またサラリーマンにとって重要な給料は今でも月決めであり、家賃や駐車場なども月決めで支払います。晦日払いの旧暦の習慣が今も残っているわけです。

ビジネスや休暇、学校などは週単位で進行しますが、これは明治以降の西洋の習慣を採り入れたためであり、給料も週給制度で支払いも週払いです。日本では1ヵ月は30日が当たり前ですが、西洋では1ヵ月は4週間であり、28日ですから、2日のズレがあることは案外知られていません。

英語圏では毎日をdaily、毎週をweeklyといい、新聞や雑誌の発行がこれに合わせています。毎月はmonthly、毎年はannualといいますが、雑誌発行としては珍しい方で、年4回quarterlyというものが割に多く、日本では季刊と訳していますが、seasonalではないのです。経済では4半期といいますが、経済報告もquarterlyに出す習慣があるため、日本もそれに従っています。四半期という表現がいかにも後から作った感がありありです。言い換えると日本にはそういう習慣はなかった、ということになります。西洋では1年や1週を4分割して考えると同時に、4の半分つまり2分割ないし2倍する考えもあり、biweekly, bimonthlyという表現もありますが、bidayという表現はありません。Biannualは時々見かけますし、biquarterlyというのも見かけます。4分割の2倍などとややこしいことを言わず半年といえばよいものを、と思うのですがhalf a yearといい、1語ではないので、そういう概念がない、といえます。週というのは聖書に出てくる数字であり、7の7倍49も出てきます。日本は明治時代によくわからないまま、西洋文化を丸呑みしたので、国教はキリスト教にはならず、暦と服装という生活習慣の一部が西洋化したのが現在の状況です。明治と戦後という二度の文化変容により、日本はいつの間にかG7といって西洋の一部であるかのように振る舞っていますが、官僚政治を始め、月給制度、年功序列、企業のお家制度、年貢の厳しい取り立てなど、文明開化以前の生活習慣や文化が色濃く残っています。そのため「あなたの職業は何。What are you?」に対する答えが「会社員」「公務員」という職業分類が当たり前になっています。これらに対する訳語はありますが、本来は、日本でいる士業(さむらいぎょう)のように専門職として答えるのが英会話の基本です。

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