パブリックサービス
6月23日は国連公共サービスデー United Nations Public Service Dayです。この日は公共サービスが果たす役割を周知するよう求めています。はたして日本では周知されているでしょうか。日本人がきちんと理解しているか考えてみましょう。
まずパブリックサービスは公共サービスと訳されています。パブリックの意味は公共だけで伝わっているかも検証の必要があります。またサービスについては誤解があるようにも思われます。公共サービスは主として国家的なものですが、地域社会における公共サービスをローカルパブリックサービスといいます。そこで働く人が国家公務員であり、地方公務員です。この日は公共サービスの価値と長所を理解し、開発工程における公共サービスの貢献を強調し、公務員の仕事を認識し、若者が公共部門でのキャリアを追求するよう奨励する日です。公共サービスとは政府から市民に対して提供されるサービスのことで、納税額に関係なく地域の全員に提供されるべきものです。公共サービスには、放送、教育、水道、電力、都市ガス、医療、軍事、警察、消防、図書館、交通、公営住宅、通信、環境保護、都市計画が挙げられます。国連の規定はこうなっていますが、日本で軍事が公共サービスと考えている人は少ないのではないでしょうか。軍事は英語ではmilitary serviceというのですが、日本語のサービスは「サービスしておきます」のようにおまけのニュアンスが強いです。喫茶店のモーニングサービスがその典型です。英語でmorning serviceというとmourning serviceと誤解され葬式の意味になってしまいます。日本語で「式」という場合の多くがserviceに含まれます。また球技のサービスも同じ語です。この機会に一度英和辞典で調べてみてください。実にいろいろな方面で使われてています。また和製英語も多くモーニングサービスだけでなくアフターサービスとかがあり、家庭サービスとかサービス精神のように合成語もできていて、公共とはかけ離れた方向に進んでいるように思われます。
公務員はpublic servant公僕というという説明が時々あります。僕というのは下僕というように召使のことで語源的にはserveに奉仕という意味があるので、そこからとって翻訳したのだと思われますが、今日、公共の下僕という意味で使っている人は野党の政治家くらいでしょう。むしろ公務員に使われている民間人の方が多いと思われます。官僚はbureaucratといいますが「国家の政策決定に大きな影響力を持つ国家公務員」と定義されており、文官と武官の2つがあります。また行政官には事務官と技官の2種類があります。現状の日本では武官は自衛官が相当すると解釈されていますが、いわゆる市民管理シビリアン・コントロールの名の下に限定的な存在で諸外国と比べると特異な組織になっています。国家公務員は制度上では官僚と公僕に分かれるはずですが、日本では単に国税から給料をもらっている人という認識が多いと思われます。その意味だとpublic employeeでgovernment workersという表現も広がっています。役人は英語ではgovernment officialまたは単にofficialといいます。このように一つひとつの意味を拾っていくと、それぞれに意味があり分化して使われているのですが、日本語では曖昧なままのような感じがします。それだけ公共への関心も薄いのかもしれません。日本には「お上」というお任せする存在であるという意識もあって、いろいろ文句はいうけれども、自ら立ち上がって直していく、という気持ちになれないのも公共サービスがまだ理解されていないことが原因かもしれません。
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