納豆の日
7月10日は語呂合わせの予想通りの「納豆の日」です。わかりやすい、というかベタですね。
近年、欧米でも納豆人気が高まっているようです。インターネットの普及で納豆の健康食品としての価値が理解されてきたようです。
1980年代頃まではアメリカに味噌や納豆を持ち込むには大変な苦労がありました。アメリカは日系人も多く、リトル・トーキョーのような日本人街もあって、日本文化への理解はある方でしたが、それでもロスアンジェルス空港の税関検査で、味噌の説明に時間がかかりました。見た目が何といっても悪いです。しかも臭います。〇〇〇と間違えられるのです。またアパートで味噌汁を作って、隣人から変な臭いがするといって警察沙汰になったという話もありました。日本人には好ましい香りでも、知らない人からすると、怪しい食べ物に違いありません。税関では味噌の原料(大豆)と塩からできていること、発酵食品であることを説明し、牛乳からチーズを作るように大豆を蒸して作るチーズのようなたんぱく質の食品であることを説明したのですが、いろいろな学校では習わない英語を駆使するはめになりました。味噌ですらこれですから、納豆はさらに大変で、腐った臭いがするのでダメとして没収されたこともあります。カリフォルニアには日本人の豆腐屋さんがあり、納豆も作っていて、日本人向けスーパーでは売っていました。豆腐は多分今でも3種類あり、Chinese, Korean, Japaneseがあると思います。中・韓・日の順に硬さが違います。米は普通にあるのですが、long grainというアジア米が中心で、日本米はshort grainという単粒種で生産量が少ないので高価です。生卵は欧米では食べる習慣がないので、殻の洗浄が不十分なことが多く、サルモネラ菌が付着していることが多いので、日本食向けにきちんと洗浄した卵を買う必要があります。海苔はほぼ輸入です。ネギも少数生産です。つまり海外では日本食は貴重で高価な食べ物です。白いご飯に冷ややっことか、玉子かけごはん、納豆、海苔、ネギなどごく日常的な朝ご飯を欧米で食べるのはかなり困難なのです。そもそも日本食レストランにもメニューとしてありませんでした。すき焼きや寿司、天ぷらは有名で、少し高いのを覚悟すれば食べられますが、朝の定食とか、蕎麦、うどんが困難なのです。今はかなり変わってきたと思いますが、背景には欧米人の日本食ブームとヘルシー志向の影響があると思われます。
昔、古伊万里コレクターのアメリカ人の家に招待され、自慢げにmiso-soupを出されたのですが、すごくまずいので、指摘したところ、理由を聞かれました。理由は簡単でダシを取っていなかったのです。カツオや昆布はあるのは知っていたが使い方がわからないのとダシを取るという発想がなかったそうで、教えたところ、すごく感動されたことがありました。日本趣味だけでなく料理も上手で、かなりのインテリでしたから、すぐに理解できたようです。古伊万里を集めるくらいですから、日本文化の奥深さを十分に理解していたのですが、意外なところに穴がありました。
異文化理解とはそういうものかもしれません。他山の石としたい、と思いました。
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