夏土用と五行思想


土用鰻

夏土用の丑の日が近くなると、鰻の宣伝ばかりで嫌になります。いい加減平賀源内の戦略から逃れたい気分です。そもそも夏の鰻はアブラのノリは少なく、冬の鰻の方がはるかにおいしいです。江戸風ではさらに蒸してアブラを落とすので、うまみが減り、タレの甘さに誤魔化されてしまいます。鰻のうまさより甘いタレのかかった飯がおいしいだけなのかもしれません。実際、東京以外で、蒸さないタイプのいわゆる地焼きの鰻を食べると鰻の旨さがよくわかります。あっさりしたうなぎを食べたいなら、白焼きをワサビ醤油で食べるのがお勧めです。

土用というのは日本で考案された季節の1つで雑節といいますが、中国から伝来した二十四節気の不足分を補った伝統です。春夏秋冬の季節の変わり目に土用があり、この時期(18日間)は土いじり(農作業)を休みます。これを土旺用事(どおうようじ)といいます。この期間は体を休めて滋養をとるのがよいのですが、普段できない整理作業をするのはよい、とされています。今でいう断捨離すると良い時期です。不要なものは供養して捨てるのによい時期なのです。忙しい時に断捨離をすると後で後悔することもありえます。まずは身の周りのものを要不要に分けておくだけでもよいです。

夏土用には梅を干したり、どくだみなどの薬草を干すのにも適しています。晴れの日が多く日差しも強いので殺菌が進みます。昔は衣類の虫干しもしていました。

土用というのは根本に五行思想があります。万物は木、火、土、金、水からできていると考えています。これに陰陽を加えて日曜日から土曜日を割り当てたのは有名です。

四季にも割り当てられており、春=木、夏=火、秋=金、冬=水で、その季節の変わり目の時期に土が充てられました。それで土用というのです。また季節には色も配分されています。四神とは青龍、朱雀、白虎、玄武をいいますが、それに四季を充てあてはめると青春、朱夏、白秋、玄冬となります。季節の変わり目である土用にも動物と色が配置されており、春土用は戌(いぬ)の日に白いもの、夏土用は丑の日に黒いもの、秋土用は辰の日に青いもの、冬土用は未(ひつじ)の日に赤いもの、がよいとされています。夏土用丑は「う」のつく黒いもの、黒毛和牛の焼肉はいかがでしょう。

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