空間と位置の非言語情報


握手

服装は人が意図的に表現できますが、空間や位置は意図的に操作できる場合と無意識にそうなる場合があります。空間や位置が非言語情報の1つであることは意外と意識されておらず、近年まで研究はあまり進んでいません。英語ではproxemicsといい、発達していますが、日本では空間は物理学の世界で、コミュニケーションという視点からの研究は稀有のようです。

しかし、コロナウイルスパンデミックでは、人と人の距離がかなり問題となり、空間における人の密度が感染に影響を与えるとされ、三密を避ける対策がかなりキャンペーンとして広がりました。また近年は2.5次元といわれる舞台が流行していますが、これは漫画などの二次元空間と舞台という三次元空間の間というような意味合いのようです。舞台演出として、舞台から役者が下りてきて中に入ってくるという手法は広がっています。アイドルの握手会というのも、ファンとアイドルとの心理的距離を縮める方法として人気があります。これらは空間をコミュニケーション・ツールとして利用している顕著な例です。

人と人の距離は文化的な影響も強く、日本は比較的距離が大きく、欧米は距離が小さいことが知られています。日本ではお辞儀をするので、双方の頭がぶつからないように、ある程度距離をおくことが必要なだけでなく、相手の足元が見られる程度の距離を保つことが安心感があります。それより距離が縮むと、なんとなく不安を覚えます。一方、欧米では握手ができる距離が重要で、それより遠いと疎遠な感じがします。このように人が心地よいと感じる距離は文化的な背景があることが知られています。この文化的距離の違いが、たとえば握手をする際にも影響が出ます。日本的距離から握手するには、半歩前にでて、腕を目いっぱい伸ばす形になります。握手をしながらでも挨拶できる距離をとろうとします。しかし欧米の握手は肘を曲げた形でするので、かなり近い距離となります。そして握手をした後、肩に手を回したり、背中に手を回したりして、親愛の情を示す行動になります。この日米の違いは日本の首相が訪米した折によく見られる光景です。さらに欧米では男性同士、女性同士、時には男女でも頬と頬をつける仕草をすることもしばしばあります。また頬へのキスは挨拶ということになっています。日本文化にはこういう習慣がないので、頬を付け合う仕草には抵抗感があります。接触または密接は距離ゼロの空間位置ということになります。意図的接触つまりタッチの心理的効果は大きく、セクハラの基準にもなっています。一方でスキンシップやマッサージなど癒しの効果になることもあります。剣道や相撲、ボクシングなどでは間合いといい、相手との適当な距離が攻撃に必須とされています。

人と人の距離だけでなく、人と機械との距離も心理的効果があります。目の保護の意味だけでなく、テレビやパソコンとの距離や機械を操作する場合の距離が安全と関係しています。機械同士の距離として車間距離というのもあります。動物との距離は観察と安全確保に不可欠な知識です。

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