日本語の音韻は独特



日本語の音がモーラという独特の音であることは日本人のほとんどは知りません。周囲の人がみんな話しているし、人口も多いので自分の言語が世界的にも珍しいとは思いもしないでしょう。しかし外国語学習にはすごく苦労するのはなぜなのか、書き言葉は何とか勉強できるのに会話が苦手なのはなぜなのだろうか、という疑問は誰もが感じます。そしてそれは学校教育が悪い、と思う人が多いらしく、文部科学省から外国語教育に関心をもつ政治家に至るまで、誰も日本語が独特だから、という説明はしません。その根本は音韻構造にある、ということを改めて説明します。

まず音韻とは何かというと、実際に耳に聞こえる音ではなく、音を聞いて脳で認識している「抽象的」な音のことです。普段、何となく耳で聞いている、という感覚をもっていますが、実際は「脳で聞いている」というのが正しいのです。言語学では基本として、実際に聞こえる音(おん)を音声、脳で認識している音を音韻と呼んでいます。音韻は言語ごとに異なりますから、外国語学習の第一歩はこの言語の音韻を獲得することです。

英語の時間に「母音」と「子音」について習ったと思いますが、きちんと説明できる人は英語の先生でも少ないです。しかも日本語には「半母音」というわけのわからない用語もあります。結論をいえば、半母音は母音ではなく子音の一種です。日本語の場合、母音はアイウエオの5つです。英語では学説にもよりますが、基本母音が単母音、長母音、二重母音の3種類があります。数としては19種類です。こう聞いただけで、学習がむずかしそうでウンザリしませんか。日本語では5母音に長音化がありますから、考え方によっては6母音といえるかもしれません。それにしても6母音で19母音をまかなうとすれば、単純計算だと1つあたり3つ引き受けることになります。要するに1つの日本語母音で3つの英語母音ということなので、英語だと別々の音になっているものを日本語では1つにしてしまうことになり、同音異義語のようなことが頻繁に起こり混乱になります。実際には均等に3つずつではなく、日本語音にないものや、二重母音は別々の音として認識するというものもあるので、対応関係はさらに複雑です。たとえばaiはアイのように2母音として処理しています。

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