日本語の形態構造分析
ローマ字で活用を書くと、音素的視点から日本語の形態構造が違って見えます。「歩く」arukuは歩かないarukanai、歩きますarukimau、歩くaruku、歩く時arukutoki、歩けばarukeba、歩けarukeとなりますが、この分布の中で、変化しない共通部分を取り出すと、arukが共通で、変化部分はa,i,u,u,e,eとなることがわかります。同じように「分析する」をローマ字表記すると、bunsekisuru分析する, bunsekisi-nai分析しない,bunsekise-nu分析せぬ,bunsekisa-reru分析される,bunsekisi-masu分析します,bunsekisuru分析する,bunsekisuru-toki分析する時, bunsekisure-ba分析すれば, bunsekisiro分析しろ, bunsekiseyo分析せよ、となります。読みづらい点はどうかご容赦をいただき、arukuと同様に変化しない部分を取り出すとbusekisで、変化部分はi,e,a,i,uru,uru,ure,iro,eyoとなります。変則性が解決した訳ではないのですが、ここでわかることは、語幹が漢字部分だけではなく、続く接辞の最初の子音まで含むということです。これを形態素と考えてはどうか、というのが日本語学の提案の1つです。他の活用形である上一段活用は例えば「用いる」だと活用語尾は「い、い、いる、いる、いれ、いろ、いよ」ですが、ローマ字で書くと、motii-nai,motii-masu,motiiru,motiiru-toki, motiire-ba, motiiro,motiiyoですから、語尾だけを書くと、最初の2つはナシですから、0とします。すると0,0,iru,iru,ire,ire,iyoとなります。同様に下一段活用は例えば「受ける」だと「け、け、ける、ける、けれ、けろ、けよ」が活用語尾となっていますが、uke-nai,uke-masuのように書いていくと、語幹はukeで、語尾は0,0,ru,ru,re,ro,yoと整理できます。上一段活用と下一段活用の語尾は似ていますね。いっそ「用いる」motiiruと「受ける」ukeruの語幹をmotiir,ukerとしてしまうと、上一段活用の語尾は0,0,u,u,e,e,o,*yo、下一段活用の語尾は0,0,u,u,e,e,o,*yoとなり、同じ構造であることがわかります。ただし0はナシということではなく、「前の子音を削除」という規則としなければなりません。それでも変則的なリストを覚えなさい、というよりは合理的な感じがします。そこで再度サ変の語幹をbunsekisurと考えると未然形i,e,aと連用形iはまだ変則的ですが、語尾はu,u,e,*o,*eyoとなり、だいぶ共通性が見えてきます。*はまだ変則的な仮説的な形です。これらは規則によって変化させることで解決します。
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