独裁と独占
「集まる」という概念の政治的応用として、統一というのがあります。問題は統一された結果ですが、普通は一人のリーダーが決定者となるため、いわゆる独裁者となります。独裁者というと悪いイメージしかない人が多いのですが、当初は複数の力が散在し、社会が混乱している状態を、一人の強いリーダーが他を倒して、新しい秩序を作り出すので、混乱はなくなり社会の安定をもたらします。今でも世界のあちこちに存在する軍事政権がその典型です。問題はその独裁が長く続くことにあります。リーダーの恣意によってすべてが決められるため、すべてが良いことにつながるとはかぎりません。とくにリーダーに媚びようとする人や賄賂によってうまくやろうという人が出てきますが、リーダーが常に公平な判断ができるとはかぎりません。身内に甘かったり、世襲を意識するようになると、どうしても不公平が生じてきます。そしてリーダーによって倒された側の人々は利権から遠ざけられるため、不満が生じてきます。そのため、新たな紛争の火種が出来上がってくるわけです。その結果、秩序が壊れて、新たな混乱となることもよくあります。この混乱(カオス)から秩序(ロゴス)、そして次の混乱になるには一定の期間があります。歴史的にはリーダーの生命の期間に比例するので、だいたい長くて50年、短いと10年程度で体制が変わります。
独裁の結果、起こる最大の問題は利権の独占です。利権は種類も大きさもいろいろありますが、政権が統一されることにより、あらゆる利権が政権に集約されます。利権の象徴が領土です。土地というのは元は地球の一部であり、動物はテリトリーという概念はあっても所有という意識はないので、人類が発生してからできた概念ということになります。そして土地の所有というのはいろいろな意味があり、使用権だけでなく、その土地に住む人々への支配権を意味することもあります。奴隷制度があった時代はとくにそれが顕著でしたが、封建制がなくなった現在でも、法律によって住民を支配するしくみは残っており、法律を制定する権利が住民になく、独裁的支配者によって恣意的に制定されていれば、奴隷制時代とあまり違わない状態といえます。独占は競争相手がないことを意味し、その分、発展が阻害される結果を生みます。健全な競争が発展や進化の原動力だからです。発展や進化は変化ですから安定と矛盾します。
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