海の日



7月18日は海の日です。国土交通省の実施要領によれば「平成8年、海の恩恵に感謝するとともに海洋国日本の繁栄を願う日として「海の日」が祝日となりました。世界の国々の中で「海の日」を国民の祝日としている国は唯一日本だけです。」だそうですから、国民にイマイチ意味がよくわからないのも無理はないです。2021年は東京オリンピックの開会式の予定日の前日の7月22日(木曜日)に変更されました。しかし決定がカレンダーの作成に間に合わなかったので、本来の海の日である7月19日は「赤い平日」となったことで混乱しました。そもそも制定当初は7月20日であったのが、2003年に改正された祝日法のハッピーマンデー制度により7月の第3月曜日となったという経緯があります。日本の祝日は何のためにあるのか、だんだん意義が薄れてきてしまいました。ハッピーマンデーのおかげで月曜日休みだけが増え学校は困りました。ハッピーなのは誰なのでしょうか。連休を作ることで観光地を潤すための政策なのでしょうか。休暇を増やしたいならば、欧米のように自由に休暇が取れる制度を普及させることが先ではないでしょうか。
調べてみると、海の日の根拠は、海の記念日で、明治9年(1876)に明治天皇が東北地方に巡幸した際、従来の軍艦ではなく灯台視察船「明治丸」で航海し、7月20日に横浜港に入港して横浜御用邸伊勢山離宮へ還幸した史実から、昭和16年(1941)に逓信大臣の村田省蔵が提唱して制定されたことだそうです。それならそれで海の記念日のままでよかったような気もします。灯台視察船というのは初めて見ました。明治丸は明治丸は灯台巡視船として日本政府がイギリスに発注し、天皇の乗る御召し船や練習船としても使用され国の重要文化財に指定されている、そうです。今でも現在は東京海洋大学越中島キャンパスに保存されているそうなので、一度見に行きたいと思います。「当時の日本国内における最優秀船であったため、通常の灯台見回り業務の他にも様々な活動を行い、日本の近現代史に業績を残している。(wikipedia)」ということであればもっと重要視して紹介すべきです。画像が公開されています。https://ja.wikipedia.org/wiki/明治丸#/media/ファイル:満艦飾の明治丸.JPG
2本マストの優美な船体で満帆であればさらに美しいと思います。満艦飾というのは祝祭日の行事などの時、船首から船尾をいろいろな旗で飾ることで、世界のどの海軍でも行う海軍礼式の1つで現在も行われています。
海の日は海の大切さを考える祝日ですから、海運のことだけでなく、今日的には海洋汚染の問題とか、領海問題も含めて、また津波や高潮の被害など、広く考える話題が多いはずですが、たんなる休日になってしまっているのは残念なことです。
日本の国土の広さは世界60位ですが、領海とEEZを合わせた海の広さは世界6位という海洋国家です。近年は海底資源の発見も多く資源国家になれる可能性も高いので、漁業だけでなく、天然資源を輸入に頼る現在の在り方を考え直す機会でもあります。海は地球の7割を占めています。北半球では陸地の割合が多いのですが、それでも6割が海です。また輸送の多くが海運に頼っています。遣隋使による海外貿易から、沿岸を航行する北前船、江戸の河川の猪牙舟(ちょきぶね)や伝馬船など、日本は古来造船技術が高い国だったのが、だんだん造船工業も減ってきてしまいました。それでも深海探査船とか船外エンジンなどは今でも世界有数の技術です。

海の日

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