夏土用、そして畠山の乱



水無月二十二日は夏土用の入りです。令和4年の夏土用は7月20日から8月6日までです。土用は季節の変わり目で、年4回あるのですが、鰻との関係か、夏土用が一番よく知られています。その土用丑の日は7月23日になります。今の時期に夏土用が季節の変わり目というと、これから本格的な夏、という感じになるかもしれませんが、太陽太陰暦でいう季節では夏土用は夏から秋への変り目ということになります。土用の頃には海の波も高くなり、これを土用波といい、海水浴には注意しなさい、ということを昔はよく言ったそうですが、今ではこれから夏休みなので海水浴はむしろ盛んになってしまいます。クラゲもたくさん出てくるので、本来は避けた方がいいのですが、現代は学校の暦が中心に生活が動くので、自然との調和が難しくなってきて、その分、事故も増えています。自然に合わせて生活した中で得た経験則は大切です。
土用丑の日の鰻も本来、この時期の鰻は脂が落ちておいしくないため、江戸時代までは鰻がうれなくて「鰻屋が困る時期」だったわけです。そこで平賀源内先生が一大CMを考案し、当時は夏に暑さで疲れた身体の疲労回復のために、柿の葉の薬草風呂やお灸をしていたことに目を付けて、栄養のある鰻を食べようというキャッチコピーを鰻屋の前に貼るようにしたら、すごく売れた、という有名なエピソードがあります。夏土用に「う」のつく食べ物を食べるとよい、という言い伝えも一役買ったのです。本当に鰻のおいしいのは冬ですが、今では冬に鰻を食べる人は少ないので、冬に獲った鰻を冷凍しておいて夏に出荷するのが当たり前になってしまいました。鰻だけでなく現代の日本は季節を外した方が高く売れるため、果物や野菜もビニールハウス栽培して時期をずらしています。典型的なのが、暮れがシーズンになっている苺です。季節感よりは価格重視になっていますが、そのためには石油などのエネルギーが大量に使われているわけですが、エネルギーと肥料を外国からの輸入に頼っているので、何かあれば一気に生産できなくなるリスクがあります。稲作のように台風被害を避けるため収穫時期をずらせるように早生種に転換しているのは知恵と言えますが、価格重視のための季節ずらしはいずれ崩壊のリスクがあると懸念しています。欧米では今でも野菜や果物には季節性があり、日本産のような甘さはないですが、価格も安く季節感があります。高くなった鰻を食べながら、なぜ高いのか考えてみるのもいいですね。

元久二年(1205)のこの日、北条時政は鎌倉殿の13人の一人、畠山重忠を討ちました。畠山重忠(NHKドラマでは中川大志)は治承・寿永の乱で活躍して頼朝に認められ、知勇兼備の武将として幕府創業以来の功臣として重きをなし、その清廉潔白な人柄で「坂東武士の鑑」とも称されました。しかし、頼朝の没後に実権を握った執権北条時政の謀略によって謀反の疑いをかけられて一族もろとも討たれてしまいました。これを畠山重忠の乱といいます。元久元年(1204)重忠の息子の重保が北条時政の後妻牧の方(りく)の娘婿である平賀朝雅と酒席で争います。牧の方はこれを恨みに思い、時政に重忠を討つよう求め、稲毛重成(時政の娘婿)が重忠謀反を訴え将軍実朝は重忠討伐を命じました。後に重忠謀反を訴えた稲毛重成も殺害され、人望のあった重忠を殺したことで時政と牧の方は御家人たちから憎しみを受け、時政と牧の方は失脚して伊豆国へ追放され平賀朝雅は殺されてしまいます。そして義時の時代になります。

土用

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