実感と体感
実感も体感も脳の判断ですが、実感がメンタル(精神的)であるのに対し、体感はフィジカル(肉体的)な感覚であるところが異なります。体感は知覚から来るものなので、感情への影響はそれほど大きくないのですが、実感の方はメンタルなので、納得感のような感情に作用します。
日本語で考えるとなんとなく意味が似ているような感じがしますが、英語では名詞ではなく、動詞で表現することが多く、「実感する」はrealize、「体感する」はexperienceと表現されます。どちらも普通は別の訳語になっています。英語では実感は認識であり、体感は経験と考えているわけです。しかも日本語は名詞、英語では動詞で表現するところも感覚が異なります。
サイトで両者の違いを検索すると「体感は「外からの刺激を体全体で感じること。」「五感」と言い換えると分かりやすい。実感は「ある思いを心に強く感じること」。「痛切」と言い換えると分かりやすい。「体感」は体で感じることですから、五感を使い外部からの刺激を感じることです。」(https://chigai.site/25081/)としていますから、漢字の意味から違いを説明しています。また「「体感」は五感で感じることで、熱い、寒いと言う感覚を始め、痛い、だるい、かゆい、振動などを体で感じることを言います。「実感」は心に感じることを言います。何か嬉しいことや悲しいことがあった場合、人は心に強くそのことを感じてしまいます。心に切実に感じること、ヒシヒシと感じることです。」(同)つまり体と心という、感じる器官が違うという説明もあります。他のサイトの記述もほぼ同じようなものですから、日本人の感覚は心と体に分けて捉えるという文化があるのに対し、英語の説明ではexperience is to observe certain events(ある出来事を観察すること) realize is to make real(現実化すること)という説明になっており、どこにも心とか体という説明が出てきません。つまり訳語としては成立していても、中身の意味がまったく違うので、正しい訳とはいえないのです。こうした感覚や脳の判断に関する語の背景には思想や文化が深く関わっており、単純に直訳すると、とんでもない誤解をすることになります。試しに「私はそれを実感した」を翻訳アプリにかけるとThat's what I felt.が出てきました。そして「私はそれを体験した」はI experienced it.と出てきました。これが英語の感覚です。日本語では実感と体感の違いだけなので、単純に入れ替えるだけではダメなのです。日本人の英語初級者はこうした間違った英作文をしそうですね。つまり文型とか文法だけに拘っていて、「意味は文が表す」という基本を理解していないのです。「木を見て森をみない」作業をしているわけです。昔は英語の時間にまず単語を覚え、次に文法を習い、その組み合わせで翻訳作業をする訓練をしていましたから、訳文はチンプンカンプンになりました。今では翻訳文が簡単に手に入りますから、単語覚えや文法学習に時間を費やさず、翻訳ツールを使って必要な例文だけを覚えるのが実用的です。いくらツールがあっても全部お任せではなく、うまく使いこなすのが新しい英語学習の方法です。
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