清明
今年は4月4日が二十四節気の清明です。春分の次の節気で「万物が清々しく明るく美しいころ」とされています。自然がとくに美しい季節です。清浄明潔(しょうじょうめいけつ)という言葉の略だそうです。中国では清明節は祖先の墓に参り、草むしりをして墓を掃除する日であり、「掃墓節」とも呼ばれています。また、春を迎えて郊外を散策する日であり、「踏青節」とも呼ばれているそうです。アニメでも知られる『白蛇伝』では許仙と白娘子が出会ったのも清明節でにぎわう杭州の郊外であったという設定です。また清明節前に摘んだ茶葉を「明前茶」、清明から穀雨までの茶葉を「雨前茶」、穀雨以後の茶葉を「雨後茶」というように分類されているそうです。緑茶は清明節に近い時期に摘むほど、香りと甘みがあり、高級とされています。日本では八十八夜が茶摘み時期ですから、少し時期が違います。中国古代の寒食節の影響で特定の期間だけ火を使わず料理を作る風習が残っている地方がわずかながら存在するそうです。日本では沖縄本島中南部(中頭、島尻)、伊是名島、伊平屋島、慶良間諸島等では「清明祭」があります。沖縄方言で「シーミー」(首里では「ウシーミー(御清明)」)と呼んでいます。これらの地域では中国の風習と同様にお墓の掃除をするとともに墓参を行い、まるでピクニックのような雰囲気で親類が揃って墓前で祖先と共に食事(餅や豚肉料理、お菓子、果物など)を楽しむ風習が見られます。沖縄のお墓は大きく、墓前が広間のように広くなっていて、そこで宴会を開くわけです。沖縄に行くとこの広いお墓に驚きますが、その意味を知ると興味がわきます。お墓に屋根が付いていたり、収容スペースの前に観音開きの扉が設置されているものもあります。扉の前には本格的な焼香台もあり、お墓参りに合わせて供養できる点も特徴です。沖縄のお墓が大きい理由として、沖縄では古くから風葬の慣習があったことがあります。風葬とは、火葬などをせず、ご遺体が骨の状態になるまで風化させるお弔いのやり方を指します。石などで作った枠の中にご遺体を寝かせて風化した後、ご遺骨を洗って骨壺に収めるというものです。その風葬の名残で沖縄のお墓は大きく作られているそうです。また、沖縄に古くある門中制度でお墓を共用していたという理由があります。門中制度とは、父系で直系の人々が共通の祖先を祀るというもので、お墓も彼らで同じものを使っています。大人数分の納骨が行われることを考えて、サイズも大きめになったとされています。
清明の期間の七十二候は次のようになっています。
初候:玄鳥至(つばめ いたる) : 燕が南からやって来る
次候:鴻雁北(こうがん きたす) : 雁が北へ渡って行く
末候:虹始見(にじ はじめて あらわる) : 雨の後に虹が出始める
この時期の花にはカタクリ、アネモネ、翁草があります。食べ物は初ガツオ、新じゃが、タラの芽などが出てきます。食べ物だけでなく、かわいい花も楽しみです。
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