文月



本日から文月(ふづき、ふみづき)には入ります。文月から秋の月になるのですが、まだまだ猛暑が続く夏真っ盛りという感じです。文月の由来は文被月(ふみひろげづき)つまり書物を広げる月ということで、字が上手になることを祈って、七夕の短冊に歌や願い事などを書くという風習と関わっているとされています。新暦の七夕は過ぎてしまいましたが、旧暦では六日後、今年は8月4日になります。今でも旧暦のまま七夕をする地域もあるそうです。例によって起源については諸説あり、稲穂が膨らんでくるので、穂含月(ほふみづき)が転じたとか、稲穂が見えてくるようになるので穂見月(ほみづき)が転じたという説もあるそうです。科学的に考えればどれか1つが正しく残りの説はあとから考えた民間語源ということになりますが、言葉の情緒性を重んじる文化としては、いろいろな呼び名で、その時期の自然現象を改めて知り、子供たちによい教訓になるといえます。子供たちの「ねえ、どうして?」という疑問に大人たちが応えてやり、人により答えが違うことに子供たちの疑問と好奇心がますます高まるという学習効果です。
文月の異名もたくさんあり、初秋(しょしゅう、はつあき)とか、お盆が来るので親の墓参りにいく月として親月(おやづき、しんげつ)、また今月の終わり頃には涼風も吹くようになることから、涼月(りょうげつ)という異名もあります。気が早いといえばそうですが、便りの冒頭に初秋の侯、涼月の侯と書いてあるのも風流です。愛逢月(めであいづき)といういうのは七夕に織姫と彦星が年に一度再会するので、愛し合う二人が逢う月ということから来ているそうです。サマーバレンタインなどという商魂丸出しのキャッチコピーより、ずっとロマンチックな感じがします。秋の始めには女郎花が咲くことから女郎花月(をみなえしづき)というのもあります。桐月(とうげつ)というのは桐の葉が落ちる秋の意味で、これも随分と気の早い解釈です。桐月という名前がかっこいのか、アニメキャラにも使われているみたいです。申の月というのもあり、これは古代中国の暦法で、いつも一定位置にある北辰(北極星)を見つけ出すのに便利な北斗七星の柄の先にある遥光(破軍星、剣先星)が一番下に来る11月を十二支の子を充て建子月とし、そこから順に干支を当てはめていくと7月が建申月(けんしんげつ)になるからです。一月から順に寅いん、卯ぼう、辰しん、巳し 、午ご、未び、 申しん、酉ゆう、戌じゅつ、亥がい、子し、丑ちゅう、という読みも覚えておくと便利です。
新暦7月29日はシチフクで福神漬の日だそうです。福神漬の由来は諸説ありますが、いろいろな野菜を漬けこんであるので七福神漬で7月29日が選ばれているそうです。今やカレーとの組み合わせの定番になっていますが、江戸時代に作られたものだそうで、明治時代の欧州航路の客船で供したのが最初で、後に帝国ホテル、資生堂、阪急梅田などがカレーに添えて出したのが広まったということらしいです。あの瓢箪形のものはナタマメで普段野菜としては食べませんが、薬用に用いられています。福神漬は栄養価もあり明治時代には缶詰にして軍に携行されたそうです。

文月

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