Spring is come.
Spring is come.と聞いて、「?」と思う人、懐かしいと思う人、「間違っている」と思う人、いろいろなのではないでしょうか。ある世代から上の人なら、昔の英文法の本にほぼ必ず載っていた「現在完了形の例外」として、「be+過去分詞」の例文になっていたので記憶の片隅にあるかもしれません。英語の現在完了形はhave + 過去分詞ですから、その例外になるわけですが、実際には日本語にないニュアンスがあります。まずは英文法的説明をします。
Spring is come.とSpring has come.の違いは、英語の時制の表現法に関連しています。それぞれの表現のニュアンスを理解しましょう。時制は現在、過去、未来だけではないのです。
Spring is come.は、春が現在やってきたことを強調します。「今、春がここに来ている」という状態を感じることができます。Be動詞は現在の状態を表しています。
Spring has come.は、春が現在もやってきていることを示します。過去の出来事だけでなく、現在もその状態(春が来ている状態)であることを伝えます。日本語では「春が来た」と同じように感じるかもしれませんが、英語では違いがあります。「春が来た」を過去形で表すとSpring came.となります。この場合、過去に春が来たという事実を淡々と語っている感じです。
Spring has come.は「今、春がここに来ている」という状態を感じることができます。春がやって来てウキウキしているような「今の感じ」を伝えたい場合に使います。つまり、現在完了形Spring has come.は、過去の出来事だけでなく、現在も続いている状態を伝えるために使われます。これだけでわかった人は天才的です。日本語には現在完了という表現形式がないので、そもそもわかりにくいのです。さらに英語では進行形が絡んでくるので、さらに厄介です。
Spring is coming.「春が(もうすぐ)来る(春はまだ来ていない)。」
Spring has been coming.「春が(しばらく前から)来続けている(春はまだ来ていない)。」
Spring has come. <結果>「春が来た(春になった、春だ)。」
Spring came.「春が(あるとき)やって来た。」
( )に解説があると少しだけニュアンスが伝わりますが、訳だけみてもよくわからないと思います。学校の英語の時間にこんな説明をされると眠くなるだけで、それで英語が嫌いになるのも無理からぬことです。もっともここに来る以前にとっくに嫌いになっている人が多いです。単語としては知っているのに、単語が組み合わさってくると文法が絡んでくるので、厄介なのです。では実際に英語話者がこれらの違いを理解して、使い分けているか、というと、そういう人は文章の専門家か、興味のある人だけです。日常ではほぼ使い分けしていません。それが「実用英語」の世界です。しかも何が「実用」かは人により目的が違うので、なんともいえません。このややこしい使い分けも「日本で英語教師になる」とか「英文法の専門家になる」人にとっては実用的です。
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