LInstok Press 発行の手話学雑誌(英文)一部欠落巻あり



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手話の雑学113 言語と文化と宗教新着!!

言語と文化と宗教は不可分あるいは不変というのが一般的な理解ですが、現実はそれぞれが入り交じった社会を構成しています。言語は複数の言語が接触すると混淆言語(ピジン)という新たな言語が発生します。文化も借用や混淆により新たな文化が発生します。これらの自然発生的な混淆は人によっては「進化」ととらえられることもあります。日本語も長い歴史の中で、大陸からの語彙借用によって漢語ができ、西洋語が入ってきてカタカ・・・

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手話の雑学112 手話と宗教新着!!

手話と宗教は一見、何の関わりもないように思えるかもしれませんが、宗教が言語や文化と深い関わりがある以上、手話との関わりも深いものがあります。たとえば、手話による聾教育の創始者といわれるフランスのド・レペがカトリックの神父であったことから見てもわかります。そしてド・レペが採用した指文字のルーツは、スペインの修道士であったことも偶然ではありません。そもそも修道士がなぜ指文字を利用したか、というのは、カ・・・

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手話の雑学111新着!!

ナラティブ手話の「波動関数」について考えてみましょう。比喩を使うなら、こう言えます。 「ナラティブ手話は意味の波動関数をもつ」。それは「時間・視点・身体配置にまたがって広がっている」。そして「分析はその一部を「測定」する行為」だから、「語彙分析するとナラティブが壊れる」し、「ナラティブを保つと語彙境界が溶ける」ということで、どちらも「正しい」のですが、同時には成立しない、ということです。 ここで前・・・

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手話の雑学110新着!!

次に量子観測とナラティブ手話分析の関係を考えてみます。こちらは 「時間の中で意味が立ち上がる」という点で、上記よりさらに手話向きになります。 ③ 量子観測 と ナラティブ手話分析 まず、意味は「存在する」のではなく、「起こる」ものという理解が必要です。 出発点として、量子観測のもう一つの核心として、ハイゼンベルク以後の量子力学が突き当たったのは、この直観です。「粒子は観測されるまで確定した状態をも・・・

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手話の雑学109新着!!

② 意味の流れを保つと、形式が曖昧になる、という問題 逆に、ナラティブ手話、詩的手話、会話の流れを重視した記述を行うと、どの瞬間にどの形か、境界はどこか、何が語彙で何が構文か、が曖昧になってしまいます。これは運動量を測った結果、位置がぼやける状態です。 ここで多くの研究がやってしまう誤りがあります。「もっと良い記述法を作れば、両立できるのでは?」という気持ちになります。ハイゼンベルク的に言えば、そ・・・

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手話の雑学108新着!!

ハイゼンベルクをカッシーラ/ランガーと無関係にご紹介するのではありません。彼らの思想との接続があります。まず、そこを簡単にまとめておきます。 ・カッシーラ:象徴形式が世界を構成する・ランガー:非言語的・同時的象徴にも厳密な構造がある・ハイゼンベルク:観察と記述が、その構造の見え方を変える この三者を並べると、「手話は未分化なのではない」「私たちの観測理論が、まだ古典的すぎるだけだ」という、かなり強・・・

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手話の雑学107新着!!

これまではやや古典的な哲学者で、言語学の主流とは異なる視点を紹介してきました。言語哲学者には、メルロ・ポンティやヴィトゲンシュタインなどを考察する人もいましたが、そうした古典的思考は後に解説するとして、今回は現代流行の量子理論の基礎となったハイゼンベルクの思想を手話分析に応用する、という視点を紹介したいと思います。 量子理論は量子コンピュータ開発という時代の最先端でもありますが、その基盤となる不確・・・

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手話の雑学106新着!!

手話の移動動詞は DIAGRAM に、授受動詞は DIAGRAM と METAPHOR の中間に、心的状態動詞は METAPHOR に重心を置く形で分布しています。手話動詞の支配関係は次のようになります。 <動詞クラスにおける三分類の支配階層> 移動動詞 : DIAGRAM > IMAGE > METAPHOR授受動詞 : DIAGRAM = METAPHOR > IMAGE心的状態動詞: MET・・・

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手話の雑学105新着!!

パースはアイコンを image/diagram/metaphor に細分しました。これを手話語彙に適用すると、以下のような層構造が見えてきます。 3.2 パースのアイコン三分類と手話語彙 ・image(形態的類似)手形・外形・動作が対象の物理的特徴を模写する(「鳥、鍵、電話」などの手話表現)。・diagram(構造的類似)対象間の関係・運動・配置のパターンを空間的に写し取る(方向性動詞、CL構造な・・・

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手話の雑学104新着!!

次のチャールズ・サンダース・パースはアメリカ合衆国の哲学者・論理学者です。19世紀後半の人で、いわゆるアメリカ・プラグマティズムの創始者の一人です。時代も場所も、ランガーやカッシーラより一世代以上前になります。ランガーとカッシーラのような直接の師弟・人的ネットワークは、パースにはありません。カッシーラは、パースの記号論(とくに三項関係やアイコン概念)を、自分の「象徴形式の哲学」に理論的に取り込んだ・・・

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手話の雑学103新着!!

そこでカッシーラの象徴形式論と聾文化の関係をみてみましょう。 2.カッシーラの象徴形式論と聾文化 カッシーラは神話・宗教・科学・言語など、多様な文化領域を「象徴形式」として捉えました。彼の枠組みを借りれば、手話は視覚身体的モードに基づく独立した象徴形式的言語であり、同時に聾文化の価値体系・認知様式を支える文化的装置として理解できるとします。すなわち手話は、コミュニケーション手段を超えて、視覚中心性・・・

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手話の雑学102新着!!

次にカッシーラの主張をご紹介しますが、その前に、まずランガーとカッシーラの関係を説明しておきます。スザンヌ・K・ランガー(Susanne K. Langer)とエルンスト・カッシーラ(Ernst Cassirer)の関係は、一言で言えば「師の理論を、弟子が別の領域へ大胆に展開した関係」です。ただし、単なる継承ではなく、かなり創造的なズレがあります。カッシーラは、新カント派(マールブルク学派)に属し・・・

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手話の雑学101新着!!

デカルトの『方法序説』の中で、手話に関する記述は次のような意味と解釈できます。 ・デカルトは明確に「手による言語表現」を認めていた・言語の本質を「精神の自由な表出」と捉えた・手話が音声と同等の言語機能を持つことを先取りしていた・聾者の言語能力を哲学的に肯定する基盤を作った つまりデカルトは“手話を言語として認める哲学史上の初期の思想家”と見ることができます。こういう指摘はデカルトの研究家で手話に関・・・

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手話の雑学100新着!!

このシリーズも今年から、嗜好を変えて、ここらで哲学では手話をどのように扱ってきたのか、調べてみます。まずデカルトです。 デカルトは「手話は言語だ」と、すでに気づいていたようです。「我思う、ゆえに我あり」で知られるデカルトは、冷たい合理主義者だと思われがちです。実際、哲学者もそう考える人が多数派です。ところが、彼の代表作『方法序説』の一節を読むと、意外なほど温かい視線が潜んでいます。それは、人は声を・・・

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手話の雑学99新着!!

これまでの長い議論をまとめると、手話は「身体で考える言語」という比喩ができると思います。ご紹介した手話の語彙例から見えるのは、次の三点です。 ・身体の動き・位置・感覚がそのまま語の意味の土台になる・空間が意味分類・対義・文法関係を組織する・抽象概念は身体経験から導かれるメタファーで体系化される 音声言語で見えにくい「意味の成立プロセス」が、手話では視覚的に「見える」のです。いわば「意味が視覚化され・・・

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手話の雑学98新着!!

■ 6. 「責任」:肩に荷を負う動き 形:肩の上に手を乗せる/押す/支える動作。 ● 身体性:重荷=責任という心理的圧力が、物理的負荷のイメージで表現されます。● 認知メタファー:責任は荷物である(RESPONSIBILITY IS A LOAD)、引き受ける(take on)=荷を背負うという英語 “shoulder responsibility” や日本語の「肩に負う」と同じメタファーが、手話・・・

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手話の雑学97新着!!

■ 2. 「わからない(否定/不理解)」:外へ散る・上へ逃げる 形:手が外側・上側に開く動き。肯定形の「わかる」と対照的に、「わからない」は、内部へ収まらない/手からこぼれ落ちる/空間へ散る、という動きになります。 ● 身体性:把握できない=“自分の中”に入らないという感覚に一致。● 空間性:上方向・外方向は、しばしば、否定・欠如・不確かさ、と結びつきます。● 認知メタファー:・理解できないものは・・・

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手話の雑学96新着!!

■ 3. 認知メタファー(conceptual metaphor):抽象概念が身体と空間を介して形成される 手話語彙の多くは、認知メタファーによって統一的に説明できます。たとえば、「理解する」をはじめとする「認知」領域の語彙には、次のようなメタファーが働いています。 ・知識は物である → 「つかむ」「しまう」「取り込む」・理解は内部にある → 頭の内部・体の内側への動き・アイデアは空間に浮かぶ →・・・

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手話の雑学95新着!!

手話の語彙や意味の体系は、音声言語の分析枠組みだけでは十分に説明できません。というより、音声言語が“聞こえること”を前提に発達した記号体系であるのに対し、手話は“見ること・身体で感じること”を前提に成立した言語なので、語の作られ方も、意味のまとまり方も、異なるルールで動いています。ここでは、手話語彙が「身体性」「空間性」「認知メタファー」を土台としてどのように構築されているのかを、具体的に説明して・・・

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手話の雑学94新着!!

手話は構造を可視化された形で保持しているため、進化モデルとの対応関係が明瞭になります。 ■ 4. 手話言語が「完全な自然言語」であること ジェスチャー起源説への最大の反論は、「ジェスチャーでは複雑な文法を作れないのでは」というものです。しかし手話はこの疑念を完全に覆します。手話には、・再帰的構造(入れ子の文)・複文・条件・因果の構文・形態論的派生・語彙の抽象化という人間言語の全構造が備わっています・・・

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