LInstok Press 発行の手話学雑誌(英文)一部欠落巻あり
その他の投稿も検索をすることができます。
「検索ワード」「分野」「内容」を入力して
「検索」をクリックして下さい。
手話の雑学64新着!!
「私とあなた」が主語という文法は、日本語の特徴で、英語文法からは考えられないしくみです。英語ではI meet you.とYou meet me.と主語と目的語は動詞を挟んで前後に分かれて明快に示されます。*I and you meet.のような文は存在しません。このように主語、目的語という説明は言語ごとに異なり、英語文法を日本語に適用しようとすると、こうした矛盾が出てきます。むしろ、項という一般的・・・
手話の雑学63新着!!
前のコラムで「仮に」としたのは、その構造分析で正しいのかどうかを別の語でも検証してみる必要があるからです。たとえば、日本手話の「歩く」では、「二本指を交互に動かす」ですが、その動かし方で、「速く歩く」「ゆっくり歩く」「ジグザグに歩く(千鳥足)」のように意味が変化します。従来はこれを「副詞的変化」と説明してきましたが、これでは構造的な説明にはなっていません。形態論的な考察をすると、変化しないのは「二・・・
手話の雑学62新着!!
現代日本語文法の続きで、次は文法的視点です。機能的な視点(述語中心の構造)として、現代文法は「文の中心=述語」と考えます。 「雨が降る」→ 述語「降る」に主語「雨が」が対応。「リンゴを食べる」→ 述語「食べる」に目的語「リンゴを」が対応。 この構造的関係を分析することで、文節の役割(主語・述語・修飾語など)を明確にします。助詞はこの関係を示す「文法マーカー」として重要です。「が」「を」「に」などは・・・
手話の雑学61新着!!
日本語文法の説明だけから手話の品詞を分類することは不可能です。つまりより一般文法的な技法が必要であり、「名詞の文法機能」「動詞の文法機能」という、より専門的な観点から考える必要がでてきます。その原因は音声言語では、語という単位がわかりやすく、語は形態素からできている、という構造が簡単に示すことができますが、「手話では、語と形態素の境界が曖昧」という点です。 みなさんの頭の中は学校文法という旧世代の・・・
手話の雑学60新着!!
ここらでまた、品詞の話に戻ります。日本語の伝統的な分類では、大きく次のような品詞があります。学校で習った文法の再学習をしてみましょう。 自立語と付属語文の中で単独で意味をもつ「自立語」と、単独では使えず他の語にくっついて意味を添える「付属語」に分けられます。たとえば「私はリンゴを食べます」の中では、「私」「リンゴ」「食べ」は自立語、「は」「を」「ます」は付属語です。 主な品詞の種類 ・名詞(人や物・・・
手話の雑学59新着!!
前述のコーヒーとミルクの関係をイメージしつつ、優勢であるコーヒーを日本語と考えれば、初期の日本語と手話のピジンは「不完全な日本語」であり、コーヒーミルク状態です。聾学校では、先生と生徒の間で、こうしたピジンが発生しましたが、先生は日本語習得を基礎に考えているため、生徒の日本語は不完全であり、いわゆる「ろう文」と呼ばれる「独自の逸脱」が観察されてきました。実際、「手話の影響」が指摘されていました。聾・・・
手話の雑学58新着!!
混淆語という概念を手話に応用してみると、優勢言語は日本語、劣勢言語という組み合わせがまず考えられます。そうすると、一般法則によって、語彙は日本語、文法は手話ということになりますが、事情はさらに複雑で、発音は手話側のものが使えません。そこで、発音も日本語の変化したものを用いることになり、文法も語順や主語、目的語といった基本的なものも使えず、表情に依存する相などに限られたものにならざるをえません。通常・・・
手話の雑学57新着!!
「バベルの塔」伝説は「神は1つ」というだけでなく、「人もアダムとイブから始まった」「人が増えるにつれて、傲慢になり、高い塔(バベルの塔)を作って、神に近づこうとしたので、神はバベルの塔を壊し、同時に人は別々の言語を話すようになった」という説明でもあったわけです。ところが植民地政策によって、アフリカやアジアにキリスト教徒が出かけるようになって、元が1つにしてはあまりに違いが大きいということに気づいた・・・
手話の雑学56新着!!
現状、ストーキーのような言語相対論の立場で、しかも新たな枠組みを提唱しようとする人は稀有です。このコラムの筆者はそういう希少な立場なので、枠組みが独創的であり、どうしてもわかりにくく、納得できる説明がわずかしかありません。そのため、日本語の例、英語の例などを比べながら、日本手話を考えるという、めんどうくさい説明になっていることをご容赦いただきたいと思っています。 新しい枠組みといっても、すべて新し・・・
手話の雑学55新着!!
日本語の「名前」は1語ですが、日本手話の「名前」は「掌」と「親指」に分解でき、語源では「ハンカチに書いた名前」というのが定説です。つまり「ハンカチ」と「そこに文字がある」という2つの要素からできていることになります。「胸に名札をつける」という習慣から、同じ日本語に対し、関西方言では、「胸の名札」を語源とする表現があります。これも「胸」と「丸い名札」と意味的に分解できます。日本手話の「鼻」は「指差し・・・
手話の雑学54新着!!
西洋語の名詞と代名詞と冠詞の関係を理解するには、名詞には、内容を示す語幹に、冠詞と数が義務的に付加される、という新しい文法観が単純です。ただ学校文法が染み込んでいるとなかなか、理解しづらいと思います。とくに英語が得意だった方には混乱が起きそうなので、この項は飛ばしていただいた方がいいかもしれません。 新しい文法概念では、名詞は意味の核となる語幹部分に、前に冠詞、後ろに数の形態素が付随して名詞(正確・・・
手話の雑学53新着!!
1週間の曜日の名前について、英語と日本語の関係はどうかというと、Sunday, Mondayのような語と日曜日、月曜日を比較して見ると一見にdayが「曜日」のように見えますが、よく観察すると月とMon, 火とTuesは対応していません。日本語の曜日は語源的には西洋の曜日からの翻訳語です。英語の曜日の名前は西洋の神話が起源になっていますが、訳語のできた明治時代、その知識の理解がなかったのでしょうか、・・・
手話の雑学52新着!!
手話は成り立ちの歴史からも身振りとの関係性が強く、言語と非言語の境目が曖昧です。それはある意味、音声言語より訴求力があるともいえます。いわば「手話は音声言語と身振りの中間」あるいは「両方の要素を含んでいる」といえます。そして近代化によって、国語との接触が増えるにつれ、音声言語との混淆(こんこう)が進んでいきます。結果として、手話の中に身振り的要素の多い言語変種と、音声言語的要素の多い言語変種ができ・・・
手話の雑学51新着!!
非言語情報の利用では、嘘がつきにくい、という現象が見られます。訓練すれば、表情や身振りも、嘘をつくことは不可能ではなく、役者のように演技できる人もいますが、普通の人は「自然に」「無意識のうちに」行動が出てしまいます。時にはコトバより強い訴求力があります。そして「身振りと言語は同期する」という法則があります。表現を換えると、「ことばと身振りは別々にできない」ということです。たとえば「万歳」の時、両手・・・
手話の雑学50新着!!
名詞に関わる文法には、数、人称、性があります。英語ではこうした文法のほとんどが代名詞で表現されます。名詞は数しかありません。西洋語では、名詞と代名詞の文法的な区別は少なく、代名詞は名詞の一部と考えてもよいと思われます。数は冠詞でも表現されます。フランス語やドイツ語では、名詞と冠詞に数と性があります。日本語には冠詞がないので、わかりにくく、覚えにくい要素の1つです。 日本語の人称を表す名詞は独特で、・・・
手話の雑学49新着!!
ここで日本語文法の独自性について、知っておいてください。これまでも日本語の特殊性についていろいろ解説してきましたが、今回は日本文化にも関わる特殊な文法です。日本語の受け身には独特の用法があります。通称「被害の受け身」といいますが、「雨に降られる」のような被害がある場合に受身形が用いられます。さらに特殊な表現として「昨年、父に死なれた」のような受け身形があります。「死ぬ」は自動詞なので、英語感覚から・・・
手話の雑学48新着!!
日本手話学習は日本語で習うため、学習者のほとんどが日本手話と日本語の近さを感じるかもしれませんが、文法的に見ると、日本手話は英語に近い側面が多いのです。まずは数を通じて、それを実感してください。ある意味、英文法に強い人は日本手話文法理解も早いと思われます。 数の次は「人称」という概念です。英文法の時間に「人称代名詞」というのを習い、1人称、2人称、3人称というのを習いました。1,2,3という数字が・・・
手話の雑学47新着!!
英語の時間に「単数、複数」という概念を習いました。名詞や代名詞に複数形というのがあって、語尾にsをつけるだけでなく、不規則変化というのもあって、面倒で覚えきれませんでした。実は日本語には基本的に複数形は存在しません。言い方を変えると「日本語は数概念を意識しない言語」です。たとえば「あ、あそこに牛がいる」と言った場合、何頭の牛なのかは意識しません。1頭かもしれないし、数頭かもしれないし、牛の群れなの・・・
手話の雑学46新着!!
文法研究の枠組みは手話文法研究にとって、大きな課題です。英文法の枠組みも日本文法の枠組みもそのままでは適用できないことが予想されるからです。もしかすると手話文法独自の枠組みを創設しなければならない可能性があります。そのためには、文法とは何か、言語研究とは何かという広範囲な知識と経験がないとむずかしいでしょう。これが、日本手話文法研究がなかなかでてこない理由の1つです。理由の1つとしたのは、他にも研・・・
手話の雑学45新着!!
このように文法研究にも長い歴史があり、その時代の要請に従って、変遷がありました。ある言語の文法を研究するに当たって、いきなり現代の手法を応用することは困難です。なぜなら、元になる資料(データ)ないからです。そこでまずデータ収集から始め、古典的な文法体系の思想を応用しつつ、順番に手順を踏んでいかねばなりません。古典である、「主語、述語、名詞、動詞」といった基本概念が手話ではどうなっているのかを調べる・・・

