差別の語源



「差別」という言葉は、特定の集団や個人に対して異なる扱いをする行為を指します。英語の「discrimination」に相当し、その語源はラテン語の「dis(分ける)」と「crimino(判断する)」から派生しています。このcrimoは犯罪の英語crimeの語源であるcrimenとは別ですが、よく似た語であることから、discriminationに犯罪的な、悪いこと、というニュアンスを感じる人もあります。特定のクラスの人々(通常は人種や肌の色に基づいている)に不当な区別をするという悪い意味は、1866年にアメリカ英語で初めて記録されました。肯定的な意味はdiscriminatingに残っていて、「識別力のある」という意味ですが、近年は「差別的」という意味にのみの使用が広がっています。語義が正反対になるというのもおもしろい現象です。現代アメリカでは民族差別や性差別が重大な社会問題となっており、政争の具にもなっています。マイノリティとされる、黒人やアジア人などが不平等と感じる行為が行われた場合、とくに入学や就職などで不平等と判断されると法的に処断されることが一般的です。アメリカではaffirmative action(積極的格差是正措置、肯定的措置)といい、1960年代より主に欧米において行われてきて、1961年にジョン・F・ケネディ米大統領が大統領令において初めて使用したとされています。その結果、黒人の大学入学が増えた一方で、学力差が無視されたこともあり、それに対して逆差別という意見もあります。同じ原理が「女性差別」にも適用され、男女比率は同じでなくてはならない、という思想がフェミニストから主張され、日本にも影響があり、いくつかの法律が制定されました。しかしそのアメリカでは女性大統領は未だ誕生していませんし、ヨーロッパやそれ以外の国でも女性大統領や女性首相が多くなっているのに、発信地のアメリカが未だ達成されていないのは皮肉なことです。

日本でも「区別」と「差別」の混乱が見られるようになりました。日本語の「差別」は、古くから存在する概念であり、歴史的に様々な形で現れてきました。古代日本では、特定の職業や出自に基づく差別が存在しました。例えば、穢多(えた)や非人(ひにん)と呼ばれる人々は、社会の中で低い地位に置かれ、差別を受けていました。これらの人々は、葬送や死牛馬の処理、行刑などの役割を担っており、社会から忌避される存在とされていました。「女性差別」として「女流」という表現は一部にしか残っていません。最近は「女優」はなくなり「俳優」というようになったのはハリウッドの影響で、女優はactressでしたが、差別的ということで、Thespianとはいうフォーマルでエレガントな表現もありますが、普通はplayerというようです。日本の近代では部落差別問題が「同和問題」として大きな政治ムーブメントとなり、今では逆に「同和」とは何なのか知らない人も増えてきました。現代でも差別は依然として存在し、性差別、人種差別の他に年齢差別、障害者差別、学歴差別、宗教差別など、などがありますが、いわゆる「人権問題」としてどこまで解決していけるのか、疑問は残ったままです。

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