聖パトリックの日


コラム挿絵:聖パトリックの日を祝う男性のイラスト

3月17日はSt. Patrick's Dayです。日本でも最近は一部でパレードが行われるようになりました。菓子メーカーがあまり騒がないのはなぜなのか、よくわかりませんが、緑にするだけなので、どこかが始めるかもしれません。

聖パトリックはカトリックの聖人で、アイルランドにカトリックを普及させた人です。アイルランド系のアメリカ人が広げた祝日で、今ではイギリスでも広がってきています。ただイギリスもイングランドは英国教会である聖公会の国であり、カトリックの国であるアイルランドとは、北アイルランド紛争もあって、微妙な雰囲気になっています。

アメリカにおいて、JFKケネディはこのアイルランド系カトリックで、初めて非WASPつまりプロテスタントでない大統領になったことで知られています。しかし米民主党がカトリックかというとそうでもなく、むしろ現在は非宗教的な方向になっています。カトリックの教義とは正反対の政治が進み、中絶推進、LGBTQ+などがバイデン政権下が進行しました。現大統領のトランプはプロテスタントですから、カトリックとは反目しているか、といえばそうでもなく、保守派としては、福音派と呼ばれる根本主義者から支持を受けていて、以前のようにカトリックと対立するのではなく、親和性が高くなっています。ユダヤ教は原理主義ですし、米共和党はかつてのような宗教対立の構図ではなく、宗教的な保守性が強くなっています。対立先は無宗教的な集団です。実際、今年の聖パトリックの日に向けて、アイルランド首相とホワイトハウスに招いて親密性を強調しています。下院議長主催の昼食会という形なので、かなり公式に力を入れているといえます。

イギリスとアイルランドは隣国で、日本ではひとまとめに理解している人が多いのですが、日本と韓国がひとまとめでないのと同じで、宗教も文化も異なります。日本で流行っているハロウインは元々はアイルランドの土着の宗教であるドルイド教の行事でしたが、聖パトリックはこのドルイド教をカトリックと融合させ、独自のアイルランドの宗教として普及させた人です。その後、アイルランドはイギリスから独立戦争を経て独立したので、ある意味、アメリカとも歴史的な親和性はあります。またケネディ家のように、アイルランドからの移民が多く、現在の東部のエスタブリッシュの中にアイルランド系がたくさんいます。そしてアイルランド系移民はトランプ支持の人が多数です。

そうした歴史的背景もあって、アメリカでは聖パトリックの日には、町中が緑に塗られ、緑の服の人のパレードがあり、花火が打ち上げられます。またクローバーが象徴とされ、緑のクローバーは幸せになれるもの、ということになっていますから、聖パトリックの日の商品デザインに多く採り入れられています。日本では、東京の原宿や横浜の元町など、流行に敏感な地域で、パレードが行われています。またアイリッシュ・パブも多いので、そこではアイリッシュ・ウイスキーやギネス・ビールなどの他に緑色のビールが提供されることもあるそうです。アイリッシュ・シチューという羊肉とジャガイモの伝統料理もあるそうです。

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