手話の雑学39

翻訳技術に必要な道具は何でしょうか。みなさんも「英文解釈」の時に何を利用しましたか。英文解釈とは「英語を日本語に翻訳する」ことです。そこでは英和辞典と文法知識が不可欠でしたね。つまり翻訳技術開発は辞書開発と文法研究と同義です。そのためには、元の言語と翻訳する言語の両方に知識が必要です。
まず翻訳における用語ですが、翻訳における元の言語を起点言語 (Source language)、翻訳した後の訳文の言語を 目標言語(Target language)といいます。英文解釈の起点言語は英語、目標言語は日本語ということになります。日本人の場合、目標言語の知識はすでにあります。そこで必要になるのが英語の語彙であり、それを英和辞書で補助します。また英文法で文法を習います。どちらも覚えることが必須なので、英語の勉強は記憶学習ということになってしまいます。日本語については、語彙の問題はほぼなく、文法知識はほとんどなくても、「自動的に判断」できる能力があります。学校教育では、実は学習のほとんどが記憶学習で、芸術と体育は比較的記憶学習が少なくてすみます。「覚えることが苦手」な人はそちらの分野に得意であることも多く、そちらに傾倒していきます。よく理系と文系という分類をしたがりますが、それは受験勉強の都合であって、どちらも記憶学習が不可欠です。ただ理系は論理的思考が必要なのに対し、文系は単純記憶による部分が多いため、そこにも得意不得意がでてきます。英語学習でいえば、語彙学習は単純記憶であるのに対し、文法学習は論理学習が多いのです。「英語ができない」と自称する人はどちらかが苦手か、両方苦手なのかですから、英語を再学習する時には、その習性を理解しておくとスムーズにできます。
ちなみに、英会話などの「実用学習」では、どちらもほぼ無視して、現場の状況から結果オーライの試行錯誤で習得する方法をとります。一番速いのが、現地学習です。目の前に商品などを置いて、売買のためのコミュニケーションをすれば、すぐにその方法を「理屈抜き」に習得できます。ある意味、それは子供の言語習得と同じであって、自然に習得できる方法であるため「自然法」(natural approach)と呼ばれています。それは、技術は必要なく、ただ現地に行ってたくさんの経験を得るだけです。現地に行かずに自然法を利用するには、マンガやアニメなど、あるいは動画配信などを繰り返して観る方法が最近増えています。とくに興味が強い場合は、「自然に」反復が増え、それだけ学習期間が短くなります。これらの現象を考えると、「言語習得は学習時間量に比例する」ということがいえそうです。実際、幼児の言語習得を考えると、3歳で基本的な言語を獲得する、という仮説に立って計算してみると、1日24時間×365日×3=26,280時間となります。「寝ている時間は計算に入らない」という反論もありますが、現実には夢を見ている時も言語を使用しています。仮にその分を差し引いても、17.000時間はかかっています。その後も学習は続くわけですから、成人になるまでには膨大な時間がかかっています。
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