修正終身雇用3 - ポスコロ5 -
農業から機械化へ、そして情報化へと産業の高次化が進化のようにとられられていますが、問題は産業の高次化が人間の生活に必要かどうかです。農業生産は今も必要で食べ物がなくなれば人類は死滅します。機械の鉄を食べるわけにはいきません。まして情報は食べようがありません。産業の発展は豊かさの本質ともいえる、飢餓がないこと、家族や世代が継続していくことで、産業の高次化はその豊かさと相反しています。実際、情報産業従事者の多くが地方移住をし始め「人間らしい生活」を求めていく傾向が高まっています。それは産業の高次化の危うさを本能的に実感しているからではないでしょうか。米国でも情報産業で金を得た人は田舎暮らしをしたり小さなコミューン作りをしています。つまり何のために仕事をするか、という根本的な問いへの答えがここにあります。
このように現代社会と歴史を考察すると、少しずつ歯車を戻していくことが幸福につながるという原理が見つかります。元の原始生活に戻るというストイックで修行のような極端な戻りは宗教家に任せるとして、一般人は少しだけ昔の生活に戻してみる、ということが幸福感につながると思います。生活用品のリサイクルや環境に配慮したリサイクルだけでなく、これまで捨ててきた習慣もリサイクルし、日本では少し前まで習慣としてきた自然とともに生きる旧暦の生活習慣や、ほんの数十年前まで当たり前だった年功序列や終身雇用を少しだけリフォームして再利用するのはどうでしょうか。SDGsという外国製のキャッチフレーズに従うのではなく、少し前まで馴染んでいた習慣であり、先達がまだ生きているので、教わることもできます。
とはいえそのままリサイクルはできませんから多少のリフォームが必要です。新しいアイデアで新しい使い道を探し出すこともイノベーションです。終身雇用制度も旧来のまま導入しても効果は薄いでしょう。昔の制度は採用→企業内研修→年功序列→昇進淘汰→定年→老後年金という流れでした。採用以前の教育を企業がすることはなく、基本能力は国民負担による学校に任せて、採用後に自社に都合のよいように研修をしていくことで戦力化しました。今の企業は即戦力といい不要になれば解雇という米国型労働力消費主義になっています。米国の場合はそれでも賃金は世界一であり、労働の流動化という終身雇用とは正反対の労働市場制をとっています。日本が同じことをすれば、資本力がはるかに高い米国企業に負けることは明白です。あるいは国家資本制度の中国とも競争できません。日本独自の労働制度に特化することで初めて競争力がつきます。日本人は真面目diligentで器用skilfulで柔和softだとどこの国でもいわれます。米国人や中国人のように攻撃的aggressiveで競争的competitiveできついhardではないので好かれることが多いです。そうした長所を活かすような雇用形態を改めて構築することが必要な時期です。コロナ禍という厳しい時代が終わるので、コロナ禍後、ポスコロを真剣に模索するべき時期です。温故知新にはまだまだいろいろな制度改革がありますが、とりあえず労働環境を考えてみました。
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