ジェットコースター



7月9日は昭和30年後楽園に初めてジェットコースターが設置されたのを記念するジェットコースターの日だそうです。ジェットコースターというのは和製英語で外国ではroller coasterといいます。ジェット機のように速いというイメージからつけたそうで、当時は「少年ジェット」という漫画があったように速いものに何でもジェットをつけたようです。本当のjetは噴流のことで、ジェットエンジンというのは噴流を出すことで反動として物体を移動させる仕組みです。噴流の反動で動くものはジェットエンジンだけでなくロケットエンジンも同じですが、空気を取り込んで噴流を作るタイプだけをジェットエンジンと呼んでいるそうです。噴流を作りだすにはピストンや爆発でもよいのですが、一般にはガスタービンで作りだします。プロペラでも空気の噴流を作り出しているのですが、ジェットには入れていません。船のスクリューも水の噴流を利用しているのでジェットには入りません。物理的定義というよりもイメージ的な定義のようです。

コースターcoasterは冷たい飲み物の下に敷く丸い紙も同じ単語です。そもそもcoastというのは沿岸のことで、コーストガードは沿岸警備隊、日本では海上保安庁を意味します。英語のcoasterの第1義は沿岸貿易船の意味で、昔の日本の北前船のように岸に沿って航行する交易船のことです。遣唐船のように遠洋にでるタイプではない航行船です。そうした比較的小さな船という意味から、そりのような意味が生まれ、さらにレールの上を小さな車輪(ローラー)で走るのでローラーコースターという語が生まれました。そりにはスレーsleighという表現もあり、こちらは馬そりのように動物に引かせるタイプのものです。現在ではボブスレーのように動物に引かせないそりもスレーと呼ぶようになりました。
飲み物の下敷きにしているコースターは冷たい飲み物の結露でテーブルが濡れるのを防ぐためですが、きれいな印刷がしてある厚紙の物は本来、ドイツでビールのジョッキの上に蓋をするためのものだったのです。ドイツのビアマグには蓋つきのものがありますが、それの簡易版です。昔のビールは今のように冷えたものではなく、結露するほど冷たくはなかったので、結露の心配ではなく、ビールに落ち葉や虫が入るのを防ぐための蓋でした。それで見た目にきれいにデザインされた蓋だったわけです。
日本ではテーブルワゴンと呼ぶことが多いですが、ワインなどを運んできてテーブルの脇に置いておくものを欧米ではコースターと呼びます。実はこちらが本家で、氷の中にワインを入れたバケツなどをテーブルに置くと濡れてしまいます。濡れると困るのは見た目の問題よりも、テーブルそのものが縮んでしまうと困るからです。このようにテーブルの端(沿岸)に停めておく船に例えてコースターと呼んだのが始まりだそうです。それが冷えた飲み物が増えてグラスなどがテーブルに置かれるので濡れるのを避けるために敷いたマットをコースターと呼ぶようになりました。英語ではcoasterともいいますが、table top matあるいは単にmatという言い方もします。英語のcoastは動詞にもなるので覚えておくと便利です。接岸する、という意味です。接岸した船はcoasted shipです。そりの滑走の意味が拡張され、自動車でエンジンを切って空走することもcoastといいます。英語感覚を知る良い例です。

ジェットコースター

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