気象記念日
6月1日は気象記念日です。テレビの天気予報の時間にもきっと紹介されています。明治8年(1875)東京に初の気象台が設置されたのが6月1日であったからです。初めて天気予報が出されたのも明治17年(1884)6月1日で内容は「全国一般風の向きに定まりなし、天気は変わり易し、ただし雨天勝ち」というものだったそうで、今ならこれを天気予報とは言わないでしょう。当時は観測機器もなく、ただ空を眺めていただけでしょうから、この程度だったかもしれません。気象神社というのもあるそうで、東京高円寺の氷川神社がそれです。御祭神は「八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)」といい天岩戸伝説で天岩戸にお隠れになった天照大神を連れ出す案をだした神様といわれ、知恵の神様です。この神社の絵馬は下駄です。昔は下駄を投げて裏表で晴雨を占いました。足に履いている下駄の片方を「明日天気になぁれ」などと言いながら蹴り上げて地面に落ちた下駄が表向き(鼻緒が上になった状態)なら晴れ、裏向き(下駄の歯が上になった状態)なら雨とされます。下駄が横向きなら曇りです。本来は占いというより子供の遊びですが、科学的に考えると雨を降らせる低気圧が接近して大気中の水分が増えると下駄の鼻緒が湿って重くなり、その鼻緒の重みで下駄がひっくり返って裏になりやすく、雨が降るのも近いという理屈もあります。この神社は映画「天気の子」の聖地になったので、若い人が多く訪れるようになったそうです。
天気予報は昔から重要な軍事情報の1つで、火縄銃を使った戦さでは雨が降ると銃が使えないため刀と槍による白兵戦になります。織田信長の桶狭間の戦いでも嵐の中を進軍し、運よく晴れたため勝利をつかむことができました。近代でも航空機やヘリコプターなどは天候に左右されます。ロケットの発射でも強風だと飛ばせません。
コンピュータの発達は、最初は大砲の弾道計算が目的でしたが、大量のデータを扱えるようになって気象予測理論が開発され、現在ではスーパーコンピュータによって世界中の気象データを元に長期予想が可能になってきています。
気象ということばは「気が形になる」という意味です。象は動物のゾウの意味もありますが、象形文字というように形を作るという意味があります。気は実の多くの意味があり、気持ちがいい、気分がいい、気がのらない、など日本語の中には気を使う慣用句が実の多くあります。気象の気とは「宇宙の根源」という意味ですが、気象の前に気候という表現もありました。同音異義語に気性というのがありますが、当初は同じ意味でした。しかし英語のメテオロジーmeteorologyの訳語として気象学が充てられ定着しました。
気象を観測する部署を気象台といいますが、台のつく部署は他には天文台くらいです。台は高い場所という意味なので、灯台とか高台、砲台というのもあります。お台場は砲台があった場所のことです。今では新興住宅地などに台のつく地名が増えました。
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