認知と認識
認知と認識はニュアンスが似ているせいか、世間だけでなく学問の世界でも混同がよく見られます。まず本来の意味tioですが、認知とは、あるものごとを、そうであるとはっきり認めることを言います。また今まで知らなかったことや、ぼんやりとしか感じていなかったことに対して、現実として受け入れて認める時に使います。婚姻関係にない相手との子供を、自分の子供であると認めて、法律的な関係を作ることも表します。そして心理学における専門用語です。つまり認知には3つの用法があります。①ある事柄をはっきりと認めること、②婚姻関係がなく生まれた子供に対して、自分の子であると認めること、③心理学で脳の知的活動を総称する表現の3つです。理解のついでに英語で表現する場合、基本はcognitionですが、翻訳する場合だとrecognition、perceptionなどと訳されることがあります。
認識とは「認識」は、ものごとを知り、本質を理解することを言います。どのような物であるかを知り、理解することで、そのものごとに対して正しく判断ができる様になることです。認識は人だけではなくコンピュータの世界でも使われます。英語の基本はrecognitionですが、perception, awareness, understandingと訳されることもあります。つまりrecognition やperceptionはかぶっているわけです。
認知と認識の違いは突き詰めると、専門用語を除く一般用語としては認知=認めること、認識=理解すること、ということになります。
近年、話題になることの多い認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。英語ではdementiaという医学専門用語になります。医学用語はラテン語源が多いのですが、dementとは狂気・痴呆になる、という意味です。英語表演としてはout of one’s mindというのを習った方もおられるでしょう。病気でないならHe is out of his mind.といいます。
情報科学の専門家は案外、こうした語義について無頓着な傾向があり、英語論文の直訳や独自の解釈の訳語を造語したりしますから、一般人は要注意です。機械認識という表現も頻繁にみられます。とくにAIがでてから急激に増えました。機械が学習により「それまで知らなかったこと」を新たに記憶しておくことはできます。これは人間の認知の③だけを疑似的に再現しているにすぎません。②など機械がするはずがないです。認識について、理解という現象をどこまで習得できたのかまだ不明です。機械の相手をする人間側が「機械もわかっている」と誤認しているだけかもしれません。機械が巧妙になればなるほど騙される人間も増えていっくことでしょう。
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