原子爆弾とコンピュータ


コンピュータ

ノイマンという名前はコンピュータ関係以外の人にはあまりなじみがないと思います。彼の業績については簡単にはまとめきれないので、https://ja.wikipedia.org/wiki/ジョン・フォン・ノイマンを参照してください。彼は「数学・物理学・工学・計算機科学・経済学・ゲーム理論・気象学・心理学・政治学に影響を与えた20世紀科学史における最重要人物の一人とされ、特に原子爆弾や汎用電子コンピュータ『コンピュータの父フォン・ノイマン』(コンピュータ科学の父アラン・チューリング)の開発への関与でも知られる。」(上記引用)正に天才で現代のダヴィンチです。日本ではアインシュタインの方が有名ですが、原子爆弾に深く関わったということで、マスコミは意図的に外しているかもしれません。彼には逸話がたくさんありますが、アインシュタインが認めた天才は彼だけで、これだけ功績がありながらノーベル賞は受賞していません。「悪魔の頭脳」と呼ばれ世間からは歓迎されていないようです。彼の論文は高度で全部を理解できる人はまずいないようです。語学も天才だったそうですが、体育と音楽が苦手というのがなぜかホットします。

基本は数学ですが、その応用範囲が広範囲にわたります。原子爆弾との関係は爆縮レンズの開発をしたことで、これはレンズという名前がついていますが、光学レンズのことではなく、比喩です。虫眼鏡で太陽光を収斂させるように、火薬の爆発を収斂させて爆縮させる技術のことです。ノイマンはこの技術を開発しました。

コンピュータ関係の人はノイマン型が現在のコンピュータのストアードプログラム方式つまりコンピュータを作動させるプログラムを内蔵させる方式を開発しました。詳しい説明はできませんが、現代のコンピュータはゲーデル数化の応用で、超簡単にいえば、現代コンピュータの文字がすべて0と1で表現できることの基礎理論です。これはゲーデルという数学者が不完全性定理の証明に用いたことで有名になりました。この不完全性定理は理解が難しく、哲学とくに文系の人たちが誤解したまま広げてしまった用語の1つです。現代数学は哲学から分離していますが、その分、哲学分野からの批判も強く誤解が広がる原因となっています。

ノイマンは気象学にも貢献しました。日本では気象学と軍事は別扱いのようになっていますが、そもそも気象予測は軍事にとって重要な情報です。火縄銃の時代には雨が降るかどうかは開戦の決定的要因ですし、現在でも台風の日にロケットを打ち上げることはできません。大砲の弾がどこに落ちるのかの予測、弾道計算のしくみは宇宙開発や航空機誘導などの基盤になっています。

あまり知られていませんが、ノイマンは現代経済理論の基礎も築いています。そしてゲーム理論も開発しています。彼はハンガリー生まれのユダヤ人で、思想的には反ナチ・反共でした。反全体主義ということです。彼の発明の多くが現在のグローバリズムを支えている技術になっているのはなんとも歴史的皮肉です。彼自身は歴史にも造詣が深く、それが彼の戦略論を構成していました。今、ノイマンが生きていたら、どう思うでしょうね。

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