ラムネとサイダー
夏の縁日ではラムネが定番の飲み物です。ラムネは海外ではほぼ見ることがない日本独特の飲み物だと思います。語源的にはレモネードが訛ったものだそうで、黒船でやってきたペリーが持ち込んだものという説が広がっています。レモネードはlemon aidのことでヨーロッパでは古くから作られてきました。レモン汁にハチミツを加えて炭酸か水で割ったものです。ミントの葉を添えることもよくあります。日本では炭酸というと水とは別と考えがちですが、ヨーロッパでは炭酸入り(ガス入り)と真水(ガスなし)が普通に売られています。ミネラルウオーターというと日本では普通の水ですが、欧米だとガス入りの水を指すことが多いです。とくに炭酸を強化したものがtonic waterです。
日本のラムネはレモンが入っていません。炭酸水に砂糖を加えたものです。ミントが入っていることはないです。ラムネとレモネードは似て非なるものです。それにレモネードは温かいのが普通ですが、温ラムネはまずないでしょう。ラムネ瓶のあの不思議な形は、イギリスで発明されたものだそうで、それまではコルク栓だったそうです。ペリーはコルク栓のレモネードの瓶入りを持ち込んできたそうです。しかしコルク栓は高い上、炭酸が抜けやすいという欠点がありました。そういえばスパークリング・ワインのコルク栓は厳重に針金で封印されていますね。そこでCodd neck bottle という首がくびれた瓶の中にビー玉を詰める瓶が発明されたわけです。Coddというのは発明者の名前です。当時のイギリスでは炭酸の飲み物がいろいろあり、中にビー玉(marble)を入れておくと、中の炭酸で自動的に栓がされるというしくみです。ヨーロッパに広がっており、この形の瓶は時々見かけますが、中身はラムネではありません。日本では当初輸入していたこの瓶を国産化し、ラムネを詰めることで普及したようです。ラムネというとあの瓶を思い浮かべる人が多いと思いますが、ラムネは本来、中身のことです。
サイダーの中身はラムネと同じ甘い炭酸水ですが、語源のciderはフランス語のcidreというリンゴ酒のことです。日本で三ツ矢サイダーに慣れていたので、アメリカでciderを初めて飲んだ時は衝撃でした。けっこうアルコールも強く炭酸が入っていませんでした。炭酸で割ったものもありますが、その時は「生の」ciderでした。そして三ツ矢サイダーの対抗馬としてでてきたのがキリンレモンでした。これは先祖返りというか、中身はラムネとほぼ同じですが、レモンの皮からとった香料が入っているそうです。そのレシピは当初は部外秘だったそうです。
最近では、焼酎やジンなどの無味無臭のアルコールをラムネやキリンレモンなどの炭酸で割ったサワーが流行しており、レモンジュースや生レモンを入れたレモンサワーやその進化系が流行っています。海外にも似たような飲み物はありますが、ジョッキというのはなさそうです。
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