立冬
11月8日は二十四節気の1つ立冬です。立冬は特定の日ではなく、11月21日まで続きます。その後は小雪になります。二十四節気というのはすべて期間です。テレビの天気予報でも二十四節気の紹介がよくありますが、期間という解説は少ないので、あるいは気象予報士のお姉さん方もよく知らないのかもしれませんね。どなたも「暦の上では立冬ですが、まだまだ暑い日がありますね」とおっしゃることでしょう。11月21日まで立冬が続いていると知っていたら、そういうコメントにはならないと思います。テレビマスコミの劣化が目立つ例です。既に紅葉も進んでいて、初冠雪の便りも聞こえてきますから、立冬でもおかしくないのです。ただ近年、暖冬化しているので、季節感がずれてきていることは確かです。立冬は四立(しりゅう)の一つで、四立とは立春、立夏、立秋、立冬です。四季の変わり目ということです。
立冬の七十二候は次のようになっています。
山茶始開(つばきはじめてひらく):つばきが咲き始める。ここでいるツバキとは山茶花(さざんか)のことです。山茶花と椿は似ているので昔からよく混同されてきました。サザンカと読むのも、本来ならサンサカなのですが、転訛しました。
地始凍(ちはじめてこおる):大地が凍り始める。大地が凍るというのは霜柱が出てくるという意味です。前の二十四節気が霜降でしたが、空中の水分だけでなく、地中の水分も凍るようになります。
金盞香(きんせんかさく):水仙の花が咲く。金盞は金の盃(さかづき)という意味で、花の内側の黄色い部分を金の盃に見立て、スイセンを指しています。スイセンには、黄色い内側を金の盃に、白い外側の部分を銀の台に見立てた「金盞銀台」という異名があります。キンセンカという花もありますが、別ですから混同しないように。水仙という名称は中国での呼び名「水仙」を日本語音読みしたもので、中国で名付けられた漢名の「水仙」は「仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙」という中国の古典に由来するそうです。英語のnarcissusはギリシャ神話の美少年ナルキソスに由来し、ニンフのエコーは愛する美少年ナルキソスに振り向いてもらえず痩せ細り、声だけの存在になってしまいました。エコーを哀れんだ女神ネメシスは池に映った自らの姿に心酔しているナルキソスをスイセンの花にしたのです。
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