世界人権デー


人権

12月10日は1950年(昭和25年)の第5回国連総会で制定された国際デーの一つで、英語表記のHuman Rights Dayです。この日は「人権デー」や「世界人権の日」などとも呼ばれ、日本ではこの日を含む12月4日~10日の一週間を人権週間、前一ヵ月の11月11日~12月10日を人権尊重推進強調月間としています。人権週間は法務省と全国人権擁護委員連合会が、世界人権宣言が採択されたことを記念して、1949年(昭和24年)に制定しました。同宣言の意義を広く国民に訴えるとともに、人権尊重思想の更なる普及高揚を図ることを目的としています。世界人権宣言は、すべての人民とすべての国が達成すべき基本的人権についての宣言です。国連で結ばれた人権条約の基礎となっており、世界の人権に関する規律の中でもっとも基本的な意義を有するとされています。この宣言は、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」で始まる全30条と前文からなっています。しかし今日でもこの宣言通りに人権が守られている国は少ないままです。

日本では案外知られていませんが、そもそも人権は対国家権力または革命権に由来しているとされています。ブルジョア革命(資本主義革命)によって確立された権利であり、近代憲法の不可欠の原理とされています。ブルジョア革命の例としてはイギリス革命(権利章典 1689年)、アメリカ革命(独立宣言 1776年)、フランス革命(人権宣言 1789年)等があり、これらは人権を古典的に表現しています。自由主義(リベラリズム)に基づくブルジョア革命・産業革命・資本主義等と共に、人権法も発展していった歴史があります。今の日本でいうリベラリズムが人権主義を強く主張する背景には、こうした歴史的な革命権、対国家権力があり、野党の人をリベラルと称するのはこうした背景があると考えられます。しかし野党からは革命という表現がほとんどなくなっていて、ブルジョア革命ということはまず言われません。そもそもブルジョア階級が存在しているかどうかも不明ですから、日本の社会に合わない思想なのかもしれません。人権思想の背景にブルジョア革命の歴史がある欧米と、日本では歴史も異なるので、人権に対する考えも異なるのは自然なことかもしれません。しかし人権尊重は世界的に普及した思想なので、日本人は正確に知っておく必要があります。

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