学問分野のパラダイムシフト2



学問のパラダイムシフトは基本原理の変更だけでなく、応用分野の変更につながります。近年話題になってきた量子コンピュータもその1つです。量子コンピュータの説明は難解なのですが、wikipedia では次のように説明しています。「いわゆる電気回路による従来の通常の2値方式のデジタルコンピュータ(以下「古典コンピュータ」)の素子は、情報について、なんらかの手段により「0か1」のような排他的な2値のいずれかの状態だけを持つ「ビット」(古典ビット)により扱う。それに対して量子コンピュータは、「量子ビット」 (英: qubit; quantum bit、キュービット) により、量子状態の重ね合わせ(量子波動関数)によって情報を扱う。ここで言う重ね合わせとは「0,1,重なった値」という第三の値と言う意味ではなく、両方の値を一定の確率で持っており、観測時にどちらかに確定すると言うものである。

n量子ビットがあれば2nの状態を同時に計算し、2n個の重ね合わされた結果を得ることができる。しかし、重ね合わされた結果を観測しても確率に従ってランダムに選ばれた結果が1つ得られるだけであり、古典コンピュータに対する高速性は得られない。高速性を得るためには欲しい答えを高確率で求める工夫を施した量子コンピュータ用のアルゴリズムが必須である。もしも数千量子ビットのハードウェアが実現したならば、この量子ビットの重ね合わせを状態を利用することで、量子コンピュータは古典コンピュータでは到底実現し得ない規模の並列コンピューティング(計算速度の量子超越性)を実現すると言われている。」ということですが、おわかりになったでしょうか。この基本原理はわからなくても、今使っているコンピュータと比べてどうなのでしょうか。

「量子コンピュータは容易に古典コンピュータをエミュレートすることが可能であるため、古典コンピュータで速く解ける問題(汎用問題)は、量子コンピュータでも同程度以上に速く解くことができる。よって汎用問題について、量子コンピュータは古典コンピュータ「以上」に強力な計算速度を持つ。ただし、同程度は可能だとしても、「より大きい」かどうかはよくわかっていない。」とwikipediaは解説しています。報道番組などでは、未来のコンピュータとして、より大きな量のデータを高速で処理できる、というような解説をしていますが、それは期待のようです。ここで理解しておきたいのは、0と1で演算している現在のコンピュータとは全く違う方式で計算するので、ここでもパラダイムシフトが起きている、ということです。現状はまだ実用化には遠いようですが、現在のコンピュータが登場した時も現在のような利用状況は想像できませんでした。同じように量子コンピュータについても、現在想定しているような用途以外の利用法が発明されていく可能性を秘めています。

パラダイムシフトというのは単に思想や方法論が変わるというのではなく、利用法の開発によって、社会や文化を変える可能性を秘めているということです。

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