商品化とは何か


ペット供養

商品化されたものを概観すると、要するに換金ということに尽きます。商品化というのは、それまで売買の対象でなかったものを、金で売買するようにする、ということになります。その典型例が労働です。日本では、少し前まで、労働は金銭には代えがたいものとする考えがありました。それは今でも「勤労感謝の日」というのがあることからもわかります。

日本の伝統では、使い古して捨てたものにも、供養して感謝する、という習慣がありました。もう死語になっているかもしれませんが、針供養とか扇子供養など物を供養するという習慣は外国ではみたことがありません。とくに欧米では、物は物でしかなく、魂をもつのは人間だけです。動物にさえ魂を認めない人がほとんどです。日本はそういう欧米思想を丸呑みして法律を作ったため、今でも動物は法律上、物扱いです。それに抵抗感をもつ日本人は多いと思います。とくにペットが死んだ時に物としてゴミ扱いにすることには強い抵抗感があるのが普通です。最近は一緒に墓に入りたいという人もいて、仏教的には畜生として区別されるので原則的には不可なのですが、OKというお寺も増えてきました。欧米ではペットに相続させる人もいるくらいですから、宗教観はともかく実際に動物をどうとらえるかは人の思想の自由のようです。動物も普通は売買の対象ではないのですが、競走馬やペットは高額で取引される商品になっています。もっとも欧米では昔、人身売買という人間まで商品化してきた歴史がありますから、生き物を商品とすることへの抵抗感は低いかもしれません。

こうして考えていくと、商品化できないものは何か、と考えてしまいます。あらゆるものが商品化され、換金されていくと、金が万能という拝金主義に陥るのも無理からぬことです。いまだ精神文化の多くは換金されていませんが、宗教の例で見るように、物になると商品化されてしまいます。物でなくても、ご祈祷やお経なども換金されることが当たり前になってきました。日本では戒名という命名権まで、商品化されています。さすがの欧米でも、洗礼名までは売買していないと思います。宗教の商品化は日本の方が先に行っているのかもしれません。

その逆にアイデアの商品化は、日本は遅れています。特許料なども安いため、日米の貿易において、知財の輸出入では日本はかなり大赤字です。これも宗主国であるアメリカには都合のよい制度かもしれません。日本の貿易赤字を減らすには、アイデアの商品化を促進し高価格化が必要でしょう。そのためには、まず日本人の価値観を変えないといけません。悪事は原則的には商品化されてはいませんが、罰金という形の換金制度はあります。その罰金は欧米に比べてかなり低額です。そのため慰謝料などもかなり低額です。これも経済格差といえそうです。罰金の高額化と厳罰化によってオーバーツーリズム問題も解決されそうで、実際そういう動きも観光地からでてきています。換金規準は文化や思想の反映ですから、日本が国際化するためには、価値観も国際化が不可欠です。そのためには何が換金でき商品化できるのか、何ができないのかを考えなくてはなりません。

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