語呂合わせ 5 韻律と童謡


ロンドン橋

英語圏では語呂合わせは韻律rhymeと呼ばれ、幼児の頃からnursery rhymes に親しみます。ナースというと、日本では看護師の意味ですが、英語では保育士なども含みます。そして動詞にすると、授乳する、哺乳する、子守をする,世話をする、という意味の他に、愛撫する、大事そうに抱く、などの意味の広がりがあり、さらに〈植物などを〉育てる,培養する、育成する、奨励する、〈破損した乗り物などを〉上手に操縦していく、〈財産などを〉大事に(管理)する; 〈資源・精力などを〉節約する、大事にする、火を絶やさないように番をする、〈酒などを〉ちびりちびり飲む、〈選挙区などを〉こまめに回って大事にする、など日本語からは想像できないほど広い意味をもっています。日本語の「大事にする」に近いかもしれません。

アメリカでnursery shopが園芸店なのに驚く日本人は多いです。Nursery rhymesは1765年にロンドンでMother Goose's Melodyが刊行され、伝承童謡の総称として「マザーグースの歌 (Mother Goose's rhymes)」という語が定着していったとされています。日本でも知られている有名なものにはLondon Bridge is Falling Down, Mary Had a Little Lambなどがあります。マザーグース集は19世紀の段階ですでに600を超え、アメリカで創作されたものも多く、現代のマザーグース集は1000を超えるといいます。[51その種類も「ハンプティ・ダンプティ」のようななぞなぞ歌 、「ハッシャバイ・ベイビー」のような子守歌 、「ロンドン橋落ちた」のように実際の遊びに伴って唄われる遊戯歌、「ピーター・パイパー」のような早口言葉 、「ジャックとジル」のようなバラッド(物語歌)、「これはジャックが建てた家」のように一節ごとに行が増える積み上げ歌、「月曜日に生まれた子供は」のような覚え歌、呪文・まじない 、物売り口上、悪口歌、歳事歌、ナンセンス歌、残酷な歌など、多様性に富んでいるので研究者もたくさんいます。また「10人のインディアン」をモチーフとして連続殺人が行われるアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』、「誰がこまどりを殺したの?」など4つの童謡の詩句に沿って連続殺人が行われるヴァン・ダインの『僧正殺人事件』などを初めとして、多数のマザーグース・ミステリー と呼ばれるジャンルがあるほど、英米人にとっては、聖書にも匹敵する常識にもなっています。

日本でも童謡が共有され、「通りゃんせ」「浦島太郎」「桃太郎」「夕焼け小焼け」などに似ています。日本では韻律よりは五七調というリズムが重視され、それが和歌や俳句、演歌にいたる日本文化の底流になっている点が英米の伝統とは異なります。どちらにも共通するのは、幼い頃から繰り返し歌われることで、母語話者としての言語感覚を形成していく点です。その韻律やリズムは現代の歌でも続いており、外国語学習の楽しみの1つです。実は英会話の上達には、単語や文法を覚えるよりは、こうした歌を覚える方が早道、ということで英語幼稚園のようなものが日本でも一部流行っています。その逆にアニメなどの影響でアニメソングが世界に広がり、日本語会話の上手な外国人が増えてきたのもおもしろい現象です。

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