選挙の語源 2
「選挙」という言葉は、漢字の「選」と「挙」から成り立っています。「選」は「選ぶ」、「挙」は「挙げる」という意味です。古代中国における「選挙」は、現代の選挙とは異なり、主に官吏登用制度を指していました。特に有名なのは「郷挙里選」という制度です。この制度は、地方の有力者や長官が優秀な人材を推薦し、中央政府がその推薦を基に官吏を選ぶというものでした。「郷挙里選」は前漢の武帝の時代に始まりましたが、やがて豪族や有力者の子弟が推薦されることが多くなり、制度の弊害が生じました。世襲はこの時代からあったわけです。その後、魏晋南北朝時代には「九品官人法」という新たな制度が導入され、中央から派遣された役人が地方の有力者を評価し、官職に就ける仕組みが取られました。選挙は、代表者や役員を決定するための手続きで、古代ギリシャやローマでも行われていました。現代の選挙制度は、18世紀の啓蒙思想とともに発展し、民主主義の基盤となりました。日本の選挙制度は、明治時代に西洋の制度を取り入れて始まりました。最初の国政選挙は1890年に行われましたが、当時は財産制限があり、限られた人々しか投票できませんでした。1925年に普通選挙法が成立し、すべての成人男性に選挙権が与えられ、1945年には女性にも選挙権が拡大されました。今では18歳以上の国民には等しく選挙権があります。ただし外国人には認められていませんが、それは世界中どこも同じです。欧米では、選挙は民主主義の根幹として長い歴史を持っています。アメリカでは、建国以来、選挙が市民の権利として重視されてきました。イギリスでは、1215年のマグナ・カルタに始まり、徐々に選挙権が拡大されていきました。日本と欧米の選挙の違いはまず投票率です。日本の投票率は欧米に比べて低い傾向があります。例えば、2021年の日本の衆議院選挙の投票率は約56%でしたが、2020年のアメリカ大統領選挙では約67%でした。この違いは、政治への関心や教育の違いに起因していると思われます。アメリカでは、学校でのシビックス教育が充実しており、模擬選挙や議会見学などを通じて若い世代から政治への関心を育てています。日本でも戦後、児童会や生徒会の役員選挙などで選挙制度への馴染みはあるはずですが、日本では政治教育が不足しており、若者の政治参加が課題となっています。アメリカのメディアは選挙期間中、候補者の政策や討論会の分析を積極的に行い、市民の関心を高めています。日本のメディアも選挙報道を行いますが、候補者の政策を深く掘り下げる報道が少ないと指摘されています。日本の選挙制度は、小選挙区制と比例代表制を併用する「小選挙区比例代表並立制」を採用しています。一方、アメリカは大統領制を採用し、選挙人団による間接選挙が行われます。選挙は、民主主義の根幹を支える重要な制度です。日本と欧米では、歴史や文化、教育、メディアの役割などに違いがありますが、どちらも市民の意思を反映するための重要な手段です。日本でも、政治教育の充実やメディアの役割強化を通じて、より多くの市民が選挙に参加することが期待されます。
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