えらぶ、を考える


選ぶ

「選ぶ」は古い日本語の中でも非常に基本的な動詞で、「良いものを取り分ける」という意味を持っていました。語源的には、「え」は「良い」や「優れた」を意味し、「らぶ」は「取り分ける」や「選定する」という意味を含んでいます。
古代日本では「えらぶ」という言葉は主に重要な役職や地位を選定する際に使われていました。例えば、祭祀や戦士など、特定の役割を持つ人々を選ぶ際に使用されました。例文「神々の使いをえらぶ。」です。まず「人の選別」から始まったというのは興味深いですね。
中世に入ると、「選ぶ」の用法は広がり、日常生活のさまざまな場面で使われるようになりました。物品の選定や結婚相手の選択など、多様な場面で使用されるようになりました。「市で良い米をえらぶ。」のようになります。江戸時代には「選ぶ」という言葉はさらに一般化し、人々の生活に深く根付くようになりました。この時代には商人や職人が商品を選ぶ際に使われたり、教育や学問の分野での選定にも使われました。「店で新しい布をえらぶ。」のようになります。
現代日本語では「選ぶ」は非常に広範な意味で使われます。商品やサービスの選択、人間関係の選定、さらには政治的な選挙など、あらゆる場面で使用されます。「友人をえらぶのは難しい。」のようになりました。

「選ぶ」を英語で表現するにはいくつかの単語がありますが、それぞれ異なるニュアンスを持っています。
1. Chooseニュアンスは、一般的な選択を指す最も基本的な言葉です。
例文 You can choose any book you like.(あなたが好きな本を選んでください。)この語の名詞形choiceも日本語の中に浸透しています。しかし過去分詞chosenはあまり浸透していません。過去形choseはさらに頻度が低く、英語を学ぶ学生の間違いがよくみられます。
2. Selectニュアンスは、よりフォーマルで、慎重に選ぶことを強調します。
例文 Please select the best candidate for the job.(その仕事に最も適した候補者を選んでください。)
日本語は同じ訳になるので、使い分けがむずかしい語です。「慎重に」ということが肝です。
3. Pickニュアンスとして、カジュアルな選択を指し、時には無作為に選ぶことを意味することもあります。
例文 Just pick one card from the deck.(デッキからカードを一枚選んでください。)
ここでいうデッキとはカードの山のことです。「気軽に選ぶ」というニュアンスです。日本語でピックアップpick upも同じ意味です。「拾い出す」の「出す」というニュアンスがでてきます。
4. Optニュアンスはいくつかの選択肢の中から一つを選ぶことを強調します。
例文 She opted to stay home instead of going out.(彼女は外出する代わりに家にいることを選んだ。)
この語は日本人にはむずかしいでしょう。名詞のoptionは知っているのでそこから類推します。
5. Electニュアンスは投票による選択や公式な場面での選択に使われます。
例文 They elected him as their leader.(彼らは彼をリーダーとして選んだ。)です。
6. Decideニュアンスは選択というよりも、何かを決定することを強調します。
例文 It's time to decide what to do next.(次に何をするか決める時が来た。)
意外な用法ですね。

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