正月飾り


門松

正月飾りには多少のルールがあって、「一夜飾りはよくない」といいます。昔から一夜飾りは縁起がよくないといわれていますが、その説はいろいろあるようです。歳神様をお迎えするのに大晦日に飾りつけを行うような急ごしらえでは、神様に失礼、誠意に欠けるため。あるいは、新しい歳神様(1年間滞在します)が31日の早朝にその家に来られ、今までの歳神様は元旦の零時ちょうどに帰られます。31日の昼間や夜に飾ったのでは引継ぎが間に合わないため、きちんとおもてなしができないから、いうもの。そして、葬式のときと同じように一夜飾りに通ずるため。お通夜の準備をした翌日に葬式を執り行い、その日に飾り物を全て取り外すことは、弔事を連想させて縁起が悪いといわれます。いずれにせよ、昔からいわれてきたことなので、理由はともかく、縁起が悪いとされることは、縁起物には避ける、という日本文化です。
そもそも正月飾りは、正月に家々を訪れる年神様(としがみさま)をお迎えするための目印であり、神様に滞在していただくための「依り代(よりしろ)」です。年神様は一年の初めに訪れて、ひとりひとりに1歳分の年齢と、その年の幸運を授けてくださる神様です。また、穀物の神様でもあります。年神様が家々に降臨するときの目印になるのが門松です。門松といえば斜めに切った竹のイメージですが、斜めに切らずに節で切ったものもあります。もともとは「松飾り」といい、松の枝だけで作ったものもありました。松は、冬にも緑を失わない生命力の象徴。竹も、成長が早くすくすくと伸びることから、長寿、繁栄を表すものとされています。門松は年神様が家々に降臨される際の目印なので、門のわきに立てるのが本来の姿ですから、一戸建てなら、玄関のわきに飾ります。マンションやアパートの場合は、玄関の前は共用部分になるので避けましょう。玄関ドアの内側に飾れるミニチュアの門松などがあります。最近は室内で飾るためのペーパーやフェルト素材の手作りキットもあります。
しめ飾りは神社のしめ縄と同じように「神域と現世をへだてる結界」という意味があります。しめ飾りを飾ることで、年神様が安心して降臨できる神域を作り、お迎えするわけです。しめ飾りの飾り方は、年神様が玄関から入ってこられるよう、玄関先の軒下や、玄関ドアに飾るのが一般的です。また、神棚や床の間など、神様に滞在してほしいと思う場所に飾るのも良い方法です。ある程度高い位置に飾り。結界なのでその下をくぐって神域に入る、という考え方です。マンションの場合、玄関ドアの外側がOKかどうかはマンションの規約を確認しましょう。玄関ドアの内側に飾っても大丈夫です。
鏡餅は、年神様へのお供えものでもあり、神様が宿る依り代でもあります。一粒一粒に霊力が宿ったお米を、さらに撞き固めて作るお餅は、強い霊力が宿る神聖な食べ物と考えられてきました。神棚や床の間に三方(さんぽう:三宝)を置き、その上に半紙や奉書紙を敷いて鏡餅をのせます。三方がない場合は、半紙や奉書紙だけでも構いません。玄関や居間からできるだけ離れた場所がよいとされています。

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