コロンブスの評価

コロンブスは昔はColumbus、Columbiaといえば「アメリカ初」という意味がありました。首都ワシントンのWashington, D.C.はDistrict of Columbiaという意味です。そもそもコロンビアという日本英語がいつからなのか不明ですが、英語を聞いたまま書くならコランビアです。コロンブスはイタリアのジェノヴァ出身で、彼の元々の姓名はクリストーフォロ・コロンボでした。しかし、スペインに移り住んでからはクリストバル・コロンに変えています。現在普及しているクリストファー・コロンブスは英語の呼び名で、彼自身は恐らく英語は話しませんでした。
コロンブスの到達はヨーロッパと新大陸の恒常的接触を確立しましたが、同時に先住民社会への深刻な影響を与えました。たとえば、1.感染症の蔓延:天然痘などによる人口急減(17世紀には10分の1以下)、2.文化・文明の崩壊:アステカ、インカなど独自文明の滅亡、3.不均衡な「コロンブス交換」:資源や作物の移動は一方的で、先住民の利益を損なう場合が多い、など負の面が多いことも指摘されています。現代の再評価としては、コロンブスの航海はヨーロッパの植民地化と経済的拡大の契機となった一方、先住民の悲劇の始まりでもあると認識され、祝日「コロンブスデー」に代わる「先住民の日」など、批判的再評価の動きもあります。「先住民」からすると、「コロンブスが来てから、生活が破壊された」ということになります。もっとも、すべてコロンブスが持ち込んだ負の面というのは正しくなく、その後のスペイン人の侵略やイギリス人、フランス人などの移民による影響の結果といえます。
反対にスペイン人はアメリカ大陸から、たばこ、トマト、ジャガイモ、トウモロコシなどの産物が欧州にもたらされました。現在でもtobacco, tomato, potatoのようにo-a-oという母音が共通しているのは、スペイン人が適当な名前をつけて欧州に持ち込んだことが起源です。これらの産物は北米(一部は南米)原産であったものが、欧州経由で、南アジアを通って南蛮貿易により日本に入ってきました。ジャガイモは語源はジャガタラ(現在のインドネシア)イモですから、途中の名前が残っています。馬鈴薯という異名もありますが、馬鈴というのは馬につける鈴のことで、その形が似ていることから付いた名前です。
現在の日本語では、タバコ、トマト、ポテトと母音が変化していますが、英語でもトマト、トメイト、ポテイト、ポタトと発音の変種があります。トウモロコシはコーンといいますが、cornとは穀類の意味であり、欧米では穀類扱いです。そのため、朝食のシリアルにはコーンの他に麦類や米類が入ります。ちなみにコーンビーフ(corned beef)はトウモロコシとはまったく関係がなく、「塩漬け牛肉」の意味です。英語のcornは穀類という意味から派生して、「粒」という意味になり、粉状になった粗塩をcornと呼ぶことから、粗塩につけた牛肉をcorned beefというようになった、という歴史があります。
こうして歴史をいろいろ探ってみると、意外な事実が浮かんできて、新しい蘊蓄になります。それもまた歴史探訪の楽しみの一つです。外国の歴史が意外に日本の文化や生活にも関わっていることが多いのです。
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