ボランティアは無料奉仕にあらず
「これサービスです」というのはオマケのことで無料という意味です。英語のserviceとは全然意味が違うので注意が必要です。同じようにvolunteerも無料奉仕ではないことを理解しておくべきです。そして人助けでもありません。
12月5日は国連が1985年に制定した国際ボランティアの日(International Volunteer Day)です。今年のテーマはthe theme of solidarity through volunteering. This campaign highlights the power of our collective humanity to drive positive change through volunteerism.(ボランティアを通じた連帯。このキャンペーンはボランティア活動を通じて、前向きな変化になるような推進をするために、私たちが力を合わせることを強調すること)となっています。相変わらず抽象的でわかりにくいですが、要するに合言葉として“Together, act now”を掲げてボランティア精神を醸成することです。そのためのノウハウを国連はオンラインで提供しています。
Volunteerを「有志」というのが一番妥当な日本語訳で、志願者、軍事的には志願兵という意味ももっています。ただし日本語では祝儀不祝儀などで、個人ではなく何人かで集まってお金を出す時も「有志一同」と書くので、誤解がないようにしたいです。英和辞典では「奉仕・援助などを自発的に申し出る、提供する,買って出る」という意味が解説されていて、英語ではそのまま動詞になることも知っておきたいです。
He volunteered to do the job. (彼は自発的にその仕事をしようと申し出た)のような用法です。日本語では名詞しかないので、英語感覚を知る良い例です。
日本では社会活動への参加という場合だけでなく、予算がない時に無償で働くという意味があります。同様にサービス残業という無報酬残業もあります。働く側の自発な申し出ではなく、雇用者が強制する場合や本人が納得していない場合にもボランティアという表現が用いられることもあって、本来の意味から逸脱しています。こうした善意を悪用する人々がいるのも事実なので、ボランティアの日にはその社会的意義を強調し理解を求めるだけでなく、悪用する人々を撲滅しないと、ボランティア精神はなかなか広がっていかないと思います。
先の東京オリンピックでも、誇りをもってボランティア活動をされた人々に対し、運営側が十分な手当てをしたか疑問視されています。一方で運営側上層部が談合や賄賂で動いていた実態が最近明らかになってきて、アスリートのひたむきな努力や熱心に応援した人々、ボランティア活動をした人々の気持ちを踏みにじる行為がありました。
戦時においても義勇兵が犬死に扱いされることは避けなくてはなりません。改めて守銭奴が横行する現代社会の病巣を反省する機会にもこの日が活用されるといいです。
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