天皇誕生日



2月23日は天皇誕生日です。天皇についてあれこれ議論するのは畏れ多いので、外国人がどう考えるのかを考えてみたいと思います。英語ではEmperorといいますが、陛下を英語でどう呼ぶかというと、ちょっとややこしくて、面と向かっての場合(まず滅多にないですが映画などでは出てきます)Your Majestyです。それ以外は三人称でHis Majestyです。なので今上陛下はHis Majescty the Emperorとなります。皇后陛下はHer Majesty the Empressです。天皇皇后両陛下はTheir Majesties the Emperor and the Empressとなります。英文法の人称と複数がきっちりでてきます。殿下は(Imperial)Highnessですが、英国だとRoyal Highnessです。英国皇太子は正式にはHis Royal Highness, the Prince of Walesですが通常Prince of Walesのみです。他国の皇太子はthe Crown Princeと呼んでいます。現在の天皇陛下が皇太子だった頃はHis Imperial Highness, the Crown Prince Naruhitoでした。秋篠宮様は皇太子ではなく皇嗣という名称を選択されているので、the Imperial Heirという変則的な名称にされておられると推測します。Heirは継承者という意味なので候補者が何人もいることになります。現状順位一位なので本来ですと皇太子であるthe Crown Princeなのですが、海外でどのように呼称されているのか興味深いです。

皇帝emperorと王kingの違いは日本では曖昧に理解されています。ちなみに英国の正式名称はUnited Kingdom of the Britain and the Northern Irelandという世界一長い国名で、通称はUKであり日本では連合王国と訳していますが英国の方に馴染みがあります。従って英国王はthe Kingで現在は女王なのでthe Queenです。このqueenは女王の場合もあり王妃の場合もありますので、ややこしいです。皇帝と王の違いは支配圏の違いで、王が1国を支配しているだけに対し、皇帝は他国も支配していることを意味します。従って英国がかつて大英帝国だった時代はBritish Empireと呼ばれていました。支配者はemperorだったのですが、植民地が独立したため王国になったわけです。連合となっているのはイングランドの他にスコットランド、ウエールズ、北アイルランドという昔は国だったものを併合したことを象徴し皇太子をウエールズの支配者(duke)にしたことを名称に残しています。西洋で皇帝というのはローマとスペインくらいです。中国も皇帝がいました。このように他国を支配することを帝国主義imperialismといいます。現在、世界で皇帝と呼べる人は日本だけになっています。しかし日本は現在他国を支配していませんから定義上は皇帝とは呼べませんが古代からの天皇という名称を持続しているので、翻訳上は皇からemperorと訳すのが恒例になっています。Royalという形容詞はフランス語のroi(王)が語源なので日本の皇室に関しては帝国ホテルImperial Hotelのようにimperialが正しいのですが、現在はロイヤルという表現も増えてきてごちゃごちゃになっています。よく支配的な人を〇〇天皇と揶揄することがありますが、これも語義上は間違いです。一方でホームラン王のように表現します。王は本来血統なので、これはアメリカ英語の影響です。

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