鬼宿日と二十八宿、天文学



2023年最初の鬼宿日(きしゅくにち)は1月6日です。とても縁起のいい日なので予めお知らせいたします。今年はこの日に一粒万倍日も重なっていますから、宝くじの運試しもよいでしょう。鬼宿日というのは二十八宿の1つです。

二十八宿(にじゅうはっしゅく)とは、天球を28の星宿に不均等分割したものです。周の時代に発達し、それがインドに伝わり、唐の時代に再伝来して、日本にも伝わったとされた古代天文学です。江戸時代にはたいそう流行したそうです。28という数字は月の公転周期である27.32日に由来すると考えられ、1日の間に月は1つの星宿を通過するという前提です。四方位に各七つのグループに分けられ、それぞれの方位に青龍、玄武、白虎、朱雀の四神獣を当てはめて、吉凶を定める占いですが、御籤(おみくじ)のような偶然性はありません。星の運行の観察と論理によって構成されています。最初の宿が角宿(かくしゅく)で東方青龍に角と呼ばれる星座がきます。星は今でいうスピカ(おとめ座α星)で1等星の明るい恒星です。和名は真珠星というそうです。古代ギリシャの天文学者ヒッパルコスはスピカの位置を観測することで初めて分点の歳差運動(地球の自転軸の首振り運動)を発見したといわれています。テーベの神殿は紀元前3200年頃に建てられた時、スピカの方向を向いていました。時代を経るにつれてその歳差運動により、神殿の建設された頃の方位からスピカの方向が異なっていったのです。天文学者コペルニクスも、歳差運動の研究のためにスピカを何度も観測していたそうです。大昔から注目されていた星だったわけです。

角宿には物事を始めるのが吉で、着始め、家の柱立て、普請造作始め、結婚は吉ですが、終わりである葬式は凶です。鬼宿は南方朱雀の二番目で、中国でいう鬼、今日でいう蟹座シータ星、和名魂緒(たまお)の星が来ます。古代中国の星座名で今でも知られているのは北斗七星くらいです。しかし昔の日本の占星術である陰陽道はそれを使って天文観測と占いをしていました。詳しく知りたい方は調べてみると江戸時代以前の日本の天文学がわかってきます。星座占いは今では西洋占星術の支配下で、生まれ星座占いなどが人気ですが、星の配置から何かを連想するのは任意なので、古代ギリシャと古代中国では異なった星座で、異なった物語があるのは自然なことです。

鬼宿日は婚礼を除くすべての行いに吉とされています。鬼というのは節分の鬼のことではなく星座名ですから、文字から誤解しないでください。星宿は28日ごとに巡ってきますから、必ず金曜日になります。金曜日の縁起が悪いのはキリスト教の話で、日本や中国では吉日なのです。

二十八宿が出てくる古典としては、水滸伝、西遊記、封神演義など日本でも人気のある中国の古典です。その影響で日本の小説や漫画にも登場するので、若い人の方が詳しいかもしれません。安倍晴明を有名にしたのは陰陽師という漫画、アニメ、映画などです。こういう形で、一旦は古臭いとして捨てられてしまった文化が若者によって復古されていくのもおもしろい現象です。古いから捨てる、という感覚は明治から昭和にかけて支配した日本文化かもしれません。今でも欧米が優れているという錯覚に支配されている人が中年、高齢者に多いのもその文化から抜けられないからでしょう。

二十八宿
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