初観音と縁日



毎月18日は観音様の縁日なので、1月最初の18日が初観音です。今はあまり馴染みがないかもしれまえせんが、昔は観音信仰が盛んでした。初観音では昨年一年を無事に終えたことに感謝し、新年の幸運を祈ります。今でも全国の観音様をご本尊としているお寺では護摩を焚き、百味供養が行われ、観音経や大般若経などが読経されるなど、盛大に儀式が行われます。百味供養というのは百種類に及ぶほどたくさんの飲食物を仏前に供養することです。

京都の三十三間堂では楊枝のお加持(やなぎのおかじ)」が行われます。観音様に祈願をした聖なる水を柳の枝で参拝者に振りかけると、頭痛を始めとする様々な病気を除くといわれています。またこの日、大的大会という、いわゆる通し矢が行われます。

弓道の新成人、とくに若い女性が振袖に袴という晴れ着姿で弓を引く姿はとても華やかです。

東京では浅草寺のご本尊様が観音様なので、「温座秘法陀羅尼会(おんざひほうだらにえ)」が行われます。これは7日間、昼夜を問わず経を読み、修法に励む儀式です。 僧が次々に交代して経を読むので、座が冷めることがないので温座といいます。この儀式のクライマックスは鬼の登場です。鬼を無事に送るとやっと儀式が終了して、私たちの1年の健康と平安が約束されることになります。

観音様を信仰している人たちにとって、初観音こそが1年の始まりで、初観音を終えると安心して1年を過ごすことができる、と感じるのです。

観音様の縁日がなぜ18日なのか、という理由には諸説あります。浅草寺の由来では、隅田川の辺りに住む兄弟が漁をしていると網に小さな1体の仏像がかかりました。兄弟は最初、仏像を網から外して水中に投げ入れていましたが、何度も同じ仏像が網にかかるため、家に持ち帰り、土地の長に見てもらいました。すると聖観世音菩薩の像であることがわかり、お祀りすることになりました。これが浅草寺の御本尊となりましたが、隅田川から聖観世音菩薩像が表れたのが3月18日であったからということになっています。これだと浅草寺だけになってしまいますが、もう1つの説では、30日秘仏という暦のようなものがあり、仏様をそれぞれの日にちに割り振っています。これが現在の縁日の基礎となっており、観音様は18日にあたっているのです。(参考サイトhttps://shikitari.net/shikitari/event/annual-event/2678/)。30日秘仏というのはその日に特定の仏様をお参りすると特別なご利益がある、という言い伝えのようなものです。有名なところでは、8日薬師如来、13日虚空蔵菩薩、18日観音菩薩、24日地蔵菩薩、28日不動明王となっています。縁日には参拝客が多いので、屋台もたくさんでます。今では屋台の並ぶことを縁日だと思っている人がいますが、それは誤解です。本来は旧暦の行事ですが、今では新暦に移行されています。こういう例は実に多いですね。

浅草寺
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