人口調査と国勢調査



明治5年(1872)1月29日、明治政府による日本初の全国戸籍調査が行われたことを記念して、この日が人口調査の記念日となっています。明治4年の戸籍法に基づいて実施され、明治5年に編製され干支「壬申」から壬申戸籍と呼ばれることもあります。これも明治5年のできごとで、いろいろ大転換がありました。

当時の人口は男1679万6158人、女1631万4667人で合計3311万825人だったそうです。今の4分の1だったわけです。

日本の戸籍制度は、645年(大化元年)の大化の改新に始まると言われ、公地公民制による口分田を基礎に年貢を徴収するために国民を登録するようになった制度が、戸籍の前身と言われています。徴税のため、というのもわかります。

現在の国勢調査は統計法(平成19年5月23日法律第53号)に基づき、総務大臣が国勢統計を作成するために「日本国内の外国籍を含むすべての人及び世帯」を対象として実施されることになっています。国勢調査では国内の市区町村ごとの人口、世帯数・内訳・就業状況・交通手段、年齢別男女比、産業構造、産業別・職業別の就業者数、昼間と夜間の人口の違い、居住の位置・期間・建築・種類などについて詳しい調査が行われています。調査結果は国や地方公共団体における福祉施策・生活環境整備・被災者数予測を含む災害対策、地方交付税の配分や民間の出店計画・統計利用など生活に関わる様々な場面で使われています。また衆議院選挙小選挙区の区割り、村町が市への移行の必要要件の一つとなる人口5万人以上も国勢調査結果の法定人口に基づいており、少子高齢化対策や防災対策、都市計画など多くの政策を策定する上での基礎資料となっています。これほど詳しい調査は諸外国には見られません。それは移民が多いことや人間の移動が激しいことにあります。

第1回国勢調査は1920年(大正9年)10月1日に実施され、最近のものは2020 年(令和2年)10 月1日で、ちょうど100回目でした。我が国の人口は1億 2614 万6千人です。調査結果は調査年の翌年公表なのですが、2015 年と比べると人口は 94 万9千人の減少( 0.7%減)で年平均 0.15%減と比べると加速度的に減少しています。

総人口を男女別にみると男性が 6135 万人、女性が 6479 万7千人。女性が男性より 344 万7千人多いです。これは高齢化の影響が大きいと思われます。

諸外国 では国勢調査をCensusといいますが、せいぜい人数と言語です。民族や人種は入り交じりが多いので、実効的に不可能です。一般に民族は言語、宗教で決まることが多いので、そうした調査はあるようです。アメリカでは使用言語の調査がなされますが、手話も言語の1つとしてカウントされ、minorityとされていますが、これは少数民族ではありません。聾者は民族ではないからです。しかし混血やバイリンガルが多いアメリカでは聾者を民族として他民族たとえば先住民や移民などと同様の権利があると主張し、実際認められている州もあります。

日本では現在、こうした問題が社会化していませんから、男女比や生活内容も調査できますが、いずれ「個人情報」ということで調査が不可能になる項目(社会変数)もでてくることが予想されます。

国勢調査
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