海苔
2月6日は海苔の日だそうです。今年は海苔不足で恵方巻もあまり販売されないみたいですが、従来、コンビニの恵方巻が売れ残って捨てられたという話を聞いて、もったいないことだと思っていました。そもそも恵方巻は大阪天満宮の行事だったのが、テレビが広げて、この時期にあまり海苔が売れないので海苔業者が乗っかってできた新行事であり、この際、控えた方がよいと思われます。
「海苔の日」は全国海苔貝類漁業協同組合連合会が1966年(昭和41年)に制定したそうです。理由は大宝元年(701年)に制定された大宝律令において海苔が年貢として納める海産物の一つとして指定され、これにちなんで、大宝律令が施行された大宝2年1月1日を新暦に換算した2月6日を「海苔の日」としたということだそうです。(https://zatsuneta.com/archives/102061.html)また、この頃に海苔の生産の最盛期を迎えるため、海苔の消費拡大が目的で、この日を中心に記念行事やイベントが実施されるそうですが、恵方巻(節分)ブームと若干日にちが違うのは愛嬌でしょうか。
海苔は古代から日本人に好まれている伝統的な食品であり、この記念日には、海からの贈り物である海苔に対する感謝の気持が込められているとされています。
数十年前までは海苔は世界的に知られた食品ではなく、アメリカではblack paperと呼ばれて、味のしない海藻の産物で、日本人がおにぎりを食べるのを不思議そうに眺めていたものです。しかし寿司ブームが世界中に起こると、カリフォルニアロールという逆さ巻の太物が一般化し、日本を訪れた人が軍艦巻きを食べるようになって、一気に広がりました。今ではnoriといえばほぼ理解されます。
海藻を食べるという習慣は世界的には珍しく、ワカメや昆布、モズクは今でもポピュラーではありません。ただ近年、世界的な健康ブームで、それまで知られていた豆腐に加えて、納豆や海藻類に注目が集まり、和食が世界無形文化遺産になってから、急激に知られるようになりました。そもそも刺身もraw fish(生魚)として敬遠されてきましたが、sushiブームのおかげで食されるようになりました。しかし一方では、魚の乱獲が海の生態系を壊す、として「寿司反対」の抗議をする水族館もあります。今のところ海藻類についての抗議がないのは少数だからかもしれません。
世界が海藻に関心が薄いせいか、海藻による二酸化炭素消費について議論はほとんど見られません。しかし地上の植物と同様、海の海藻類は二酸化炭素を吸収して酸素を出しています。魚類はその酸素で生きているわけです。それを知ったら、「海藻を食べるな」と騒ぐ人々がでてこないとも限りません。今のうちです。
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