彼岸の入り
今年は3月18日が彼岸の入りです。「彼岸」は雑節の一つで仏教に由来する行事です。春と秋の二回あります。彼岸は二十四節気の春分と秋分を中日(ちゅうにち)とし、前後各3日を合わせた各7日間です。この期間にお寺では彼岸会(ひがんえ)」が行われ、お墓参りをする習慣になっています。中日は先祖に感謝する日で、残る6日は悟りの境地に達するために必要な6つの修行徳目である六波羅蜜(ろくはらみつ)」を1日に1つずつ修める日とされています。
六波羅蜜とは大乗仏教において菩薩に課せられた6種の実践徳目で六度ともいいます。
1)布施ふせ波羅蜜(檀だん波羅蜜):財施、法施(真理を教えること)、無畏むい施(恐怖を除き、安心を与えること)の3種。
2)持戒じかい波羅蜜:戒律を守ること。
3)忍辱にんにく波羅蜜:苦難に堪え忍ぶこと。
4)精進しょうじん波羅蜜:たゆまず仏道を実践すること。
5)禅定ぜんじょう波羅蜜:瞑想めいそうにより精神を統一させること。
6)智慧ちえ波羅蜜(般若はんにゃ波羅蜜):真理をみきわめ、悟りを完成させる智慧。
六波羅蜜の中ではこの智慧(般若)波羅蜜が肝要とされ、前の五波羅蜜はこれを得るための準備手段として要請される。(https://true-buddhism.com/practice/6paramitas/)
表現がむずかしいので、やさしい表現にすると、布施=親切、持戒=言行一致、忍辱=忍耐、精進=努力、禅定=反省、智慧=修養ということです。反対を考えるとよりわかりやすいかもしれません。布施の反対は慳貪(けんどん)けち、持戒の反対は破戒(はかい)約束を破ること、忍辱の反対は瞋恚(しんに)短気、精進の反対は懈怠(けたい)なまくらなこと、禅定の反対は散乱(さんらん)落ち着きがないこと、智慧の反対は愚痴(ぐち)ねたみ・そねみ・うらみのことです。現代ではこの説明表現ですら、意味が違ってとらえられているものがありますが、あらためて仏教の教えを理解し、日頃の行動を反省するよい機会です。本来はいつもこの六波羅蜜を実践しなくてはならないのですが、なかなかそれも大変なので、せめて彼岸の時だけでも、そして6ついっぺんにするのも大変なので、一日に1つだけでも実践してみると、善というものがわかるということです。しかもしかもこの六波羅蜜のすごいところは、どれでも自分にあったものを1つ、一生懸命やれば、6つ全部やったことになるというところです。自分にあうものからやってみるのがよいのですが、とくに六波羅蜜の最初である布施は最も功徳が大きいとされています。布施はお坊さんにお金を上げることではありません。ましてお布施をけちったら意味がありません。
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