手話とジェスチャー


手話

昨日のジェスチャーの話の続きです。ジェスチャーが言語表現と同期することは人類普遍の共通点で、人間の進化過程と関連があるという指摘は古くからあります。化石は動かないので、どういうジェスチャーをしていたかは想像の域を出ませんが、最近は恐竜の動きなどを推測してCGができたりしているので、人間の行動も骨格からある程度は推測できていると思われます。また類人猿などの行動と比較することから類推する手法も昔から行われてきました。

手話とジェスチャーが深い関係にあることは自明の理です。しかし手話にはジェスチャーにない動作が多く含まれていて、そのほとんどが手話言語により違いがあります。「世界の手話は共通らしい」という誤解はジェスチャーだけを見ているとそう思うのは無理ないのですが、実際はジェスチャーでも国によって文化によって違いがあることがわかっています。たとえば日本人が自然にするお辞儀は世界共通ではありません。日本人は挨拶や感謝、陳謝の時には頭を下げる動作をしつつ「おはようございます」「ありがとうございます」「申し訳ございません」などと言う行動をとります。ここでも言語表現と動作は同期しています。

手話はジェスチャーと同じく動作なので、音声と同期させることが容易です。聴者がある手話動作を習う時、当然のように日本語の意味を同時に習います。これは語学の基本でもあり、英単語でも綴りや音声と共に「日本語の意味」を習います。ただし現地で生活する場合はそんな余裕はないので、直接、音声や文字と意味を自分で理解していきます。当然、誤解があったりします。これは語学でなく習得です。

手話学習では動作と日本語の意味のセットを習うため、日本語の音声とも連動しやすく、語彙(単語)レベルでは音声と動作が同期しやすいのです。とくに指文字は動作と日本語の音韻が完全に一致しているので、指文字表現と日本語の発声が同期しやすいのです。当然、発生のリズムやテンポは日本語と同じため、日本語理解が十分でない人には日本語のように見えます。実際には拗音や促音などは日本語の発声とは微妙に時間的なズレがあり、それは指文字のルールに起因するのですが、それには普通、気が付きません。その延長線上にいわゆる「日本語対応手話」があります。ある手話単語に日本語の音声が同期していきます。実際には指文字の場合よりも大きな時間的なズレがあるのですが、それには気づかず、リズムやテンポも日本語とは異なっていても語順が同じなので、日本語に見えてしまいます。同期といえば同期なのですが、ジェスチャーのような一動作ではないため、不完全な同期で時間的に一致するのは最初だけです。その時間差をうまく調整する技術を手話通訳はもっています。

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