植物学の日


牧野富太郎

4月24日は植物学の日になっているので、NHKを始め大騒ぎすることでしょう。朝ドラ「らんまん」のモデルである牧野富太郎の誕生日にちなんでいます。しかし牧野博士が生まれたのは文久2年(1862)年ですから、まだ旧暦の時代です。何もかも新暦に換算するのはどうかと思うのですが、もう当たり前になっていて疑問に思うのは稀有な人でしょう。ドラマでは峰屋の槙野万太郎となっていますが、牧野富太郎は土佐国佐川村(現高知県高岡郡佐川町)の岸屋に生まれました。酒屋だけでなく小間物屋(雑貨商)もしていて裕福な商家でした。岸屋はその後、経営が傾き、佐川村にあった他の酒屋と統合され、現在は「司牡丹」という有名な酒屋になっています。「峰乃月」という銘柄の酒はないみたいです。NHKは当然調べたでしょうね。峰の月というロマンチックな名前は好まれるようで、ネット検索すると尺八の名曲のようで、お菓子もいろいろあります。

牧野富太郎は小学校中退という学歴ですが、理学博士です。現代では大学院博士課程を修了して博士になるのが一般的ですが、実は今でも論文博士という制度は残っていて、一定の学術的実績と試験に合格すれば博士号を得ることが可能です。課程博士が甲、論文博士が乙として分類されています。

牧野富太郎は日本の植物分類学の父と呼ばれていますが、世界の植物分類学の父はカール・フォン・リンネというスウェーデンの学者です。リンネの分類法は階層分類体系と呼ばれ、今日でも動植物の分類に使われています。界kingdom、門division、綱class、目order、科family、属genus、種speciesという分類法はリンネが確立したといえます。この分類法は階級構造になっています。動植物の分類はリンネ以前にもありましたが、キリスト教的な創造主の意図を前提としたり、生殖こそが動植物の基本という観念を分け方を導入したのがリンネといわれています。これが自然分類の基本でした。

牧野富太郎の頃の日本の植物分類は本草綱目という漢方たの医学と薬学を兼ねたような書物でした。本草綱目は明代に作られたとされています。その他に、日本には伝統的な植物の名前があり、和名(わめい、わみょう)といい、1つの花に複数の名前がついていることもありました。たとえば彼岸花は曼殊沙華と呼ばれることもあります。また生物的特徴というより、見た目の類似などが比喩的に命名されることも多く、いまでも〇〇モドキ、とかイヌ△△などになっています。これは日本独自の命名法です。

牧野の命名は和名法です。牧野富太郎の研究生活は波乱万丈ですが、これ以上はネタバレになるといけないので、書かないでおきます。

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