博士


博士

5月7日は語呂合わせだと「コナモンの日」です。コナモン好きとしてはひとこと書きたいところですが、「博士の日」でもあるので、博士(学術)の一人として、この制度について解説します。「明治21年(1888)年、植物学者の伊藤圭介、数学者の菊池大麓、物理学者の山川健次郎など25人に日本初の博士号が文部省によって授与された。この時、法学博士、医学博士、工学博士、文学博士、理学博士の5種類の博士号が設けられた。」(Wikipedia)。現在でもこれらの博士号は残っていて、何となく権威性が保たれています。というのも1991年の改制により分野はカッコ書きするように改められ、19の分野になっています。しかし旧制度の博士にはカッコ書きがないため数が少ないからかもしれません。現在は博士(法学)、博士(政治学)、博士(経済学)、博士(商学)、博士(文学)、博士(哲学)、博士(教育学)、博士(学術)、博士(医学)、博士(歯学)、博士(保健学)、博士(農学)、博士(理学)、博士(工学)、博士(数学)。博士(建築学)、博士(美術)、博士(音楽)、博士(美術)です。ある意味、これが学問分野として公認ということになります。その中で「学術」というのは分野が特定できない分野の場合となり、現在、もっとも多いと思われます。元は英語のPh.Dがphilosophyであり、訳すと哲学博士になってしまうのですが、実質的な意味はphilosophyは思想、理念など幅広い分野を包括しています。そこで(哲学)と(学術)を分離したわけです。

Wipedia によると「当時の博士号は論文の提出によるものではなく、教育への貢献を評価されたものだった。論文による本格的な博士が生まれたのは、それから3年後の1891年(明治24年)からである。また、当時は「博士」の上に「大博士」の学位があったが、該当者がないまま1898年(明治31年)に廃止された。」ということで、名誉称号の意味が強かったわけです。実際、最初の学位授与者はすでに男爵などの爵位がある貴族の一員でしたから、「末は博士か大臣か」という言葉があるようにエリートであったわけです。博士と書いて「はかせ」と「はくし」という2つの読み方がありますが、博士(はかせ)は大化の改新以来の官職で学生を教育するのが役目でした。明治になって定められた学位が博士(はくし)です。

今や大臣は国会討論やマスコミの攻撃対象となり、尊敬されない存在になってしまいました。博士の方も学位をとっても就職がなく、教える機会もほとんどないような状態です。歴史的に見れば明治以来百年が過ぎて、政治と学問に権威がなくなってしまった、ということになります。諸外国では、アメリカは日本に近い状態ですが、欧州は異なり、開発途上国では未だに権威性をもっています。しかし日米が文明の最先端かどうか、民主制度の弱点ではないのか、という疑問を考える材料かもしれません。

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